おとうと

 中学生の冬の話。

 その日、寒い学校から家に帰ってきたばかりの私は制服を着替えもせず、リビングに出されたコタツにあたっていました。

 しばらくして同じ中学に通う弟が帰宅。

 そして、弟は家のコタツにあたっている私を見た瞬間、凄まじい大声をあげて驚いたのです。

 何故そんなに驚いたのかを訊くと、弟はたった今帰ってくる時に駅前で私とすれ違ってきたと言うのです。

 それも顔を見間違えないような至近距離ですれ違い、挨拶こそ交わさなかったものの確かに私と眼が合った、着ていた服は中学の制服ではなく、いつも私が着ている普段着だったと。

 いわゆるドッペルゲンガーを目撃したらしいのですが、弟との不思議な話はこれだけではありません。

 私と弟がいる時に、ふと頭に思い浮かんだ話題を弟に話しかけると「何で今考えている事が解ったの?」と驚かれる事がよくありました。

 趣味が合う弟ですから、リンクがあるのかもしれません。

 偶然や思い込みかも知らねど。

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