痛覚

 自分には霊感があるかっていうのはよく解りません。

 『みえるひと』かどうかはよく解らないけれど、霊がみえる時は心霊動画の様な不気味な歪んだ姿でなくて、現実の人間と区別がつかない姿にみえるだろうなって気が何となくします。

 そんな私の心霊体験めいている不思議な話。

 私は心霊物の番組がある時はすかさずテレビ前に座る人間です。楽しみです。夜寝る前に怖くなるだろうと思いつつも観てしまいます。

 何かスナックを食べながら観る時もあります。

 そんな私が心霊写真や動画を本物かどうかを私なりに判別する方法。

 それは「手の指がチクチクする」かどうか。

 番組を観ていて両手の指がチクチクしてきたら、それはまず「本物だろうな」と感じます。

 手指「チクチク」が「ズキズキ」まで行くと「この物件はヤバくね?」といった感じです。

 本当にヤバそうな物件の時はヘラヘラ笑いながら観ていた顔が「これは笑えないな」と顔が大真面目になります。本当に笑えなくなります。顔がシリアスに固まるのです。

 何故手指がチクチクするか? それは解りません。

 ただその画像が幾ら怖そうでも手指がチクチクしない物件はほぼ「これは心霊画像じゃありません」「全く影響はありません」と鑑定されるオチがつきます。

 ヤバそうだなって思った画像は、やはり何か物騒なものである事が鑑定されます。

 これがチクチクです。

 チクチクは心霊番組を観ている時はよくあるのですが、これとは別格に「ゾゾ~ッ!」というものがあります。

 いきなり前触れもなく背筋に腰から頭までゾゾ~ッ!とした確かな感触が這い上がるのです。物理的な感覚すらあります。身震いするのです。

 このゾゾ~ッ!を覚えたのはこれまで二回。

 最初は心霊動画を紹介した番組で、普段使ってない大学の校舎を階段を上がっていって不思議な光る人型を目撃する動画。

 これは最後のクライマックスではなく、そこへ至る階段のシーンでいきなり私の背筋がのゾゾ~ッ!と来ました。何となく最後の人型はとんでもなくヤバいものなのでは?と思いました。

 二回目は美空ひばりを特集していた番組で、ある劇場で美空ひばりが愛用していたエレベータという物が紹介された瞬間、背筋にゾゾ~ッ!としたものが走りました。

 このエレベータはいわゆるレトロ物で見事に美しい造形をしていて、この時の私は恐怖ではなく感動でゾゾ~ッ!としたのではないかと思っています。

 チクチクとゾゾ~ッ!は私の何か心が動くものの検知器なのです。

 まあ、思い込みかもしれないけどね。


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