二十六話 お仕事もする皇太子妃
皇太子妃生活にも慣れ始めて、羽目も外し始めている私だったが、勿論皇太子妃のお仕事も忘れてはいなかった。いませんよ。というか、忘れさせてくれませんよ。周囲が。
皇太子妃のお仕事のほとんどは社交である。毎日毎日飽きずに社交はある。皇太子妃にとって社交は日常で、お忍びで遊びに行くのはあくまでもその合間だ。御前試合に出る前に鍛錬をしたのだって社交の僅かな隙間を使っての事だ。勘違いしないように。いや、結構大変なのだ。お忍びで出掛けるにも日焼けをしないように鍔の広い気取った帽子は必須だし、鍛錬も本当なら庭でやりたくても日焼けや汚れが困るからと屋内でやった。そして動いた後は直ぐにお風呂に入って着替えてお化粧して社交に出掛けるのだ。
帝宮で行われるお茶会にはいくつか種類がある。一つは大お茶会と呼ばれる数十人規模のお茶会で、月に一度くらい行われる。大規模なだけに場所もホールか庭園で行われ、テーブルも複数である。この場合は主催は私か皇妃陛下だが、準備をするのは帝宮本館の侍女達で、私は出れば良いので楽だ。出席者もあまり気張らないで良いらしく、比較的気楽なお茶会である。
人数も多いので挨拶だけでも一仕事だ。私が会場内を歩き回り、テーブルの一つ一つをめぐって行く。そうするとそのテーブルの婦人たちが立ちあがって略式の挨拶をする。こうして一応全員と言葉を交わすのが私の大お茶会における最も重要な仕事である。こうした時でも無いと皇太子妃と会話をする機会の無い婦人もいるので、この挨拶は結構大事なのだ。
こうした大規模お茶会の意味合いとしては、帝国は上位貴族の皆さんのご協力によって成り立っているんですよ。けして皇族とその取り巻きだけで動いているのでは無いんですよ、というアピールの意味がある。同様のアピールとしては女性では更に規模が大きく子爵以上の貴族が招かれる場合もある園遊会。男性貴族が大規模に集まる狩猟会などがある。
大規模お茶会の次に大きなお茶会は帝宮本館のサロンで行われる、私か皇妃陛下主催のお茶会である。集まる人数は多くて十人。これは最低でも週に2回は行われる。これも主催は私か皇妃陛下だが、準備は侍女任せだ。ただし、毎回趣向が凝らされていて、主催の私はそれを理解しておく事は求められる。招待される者は上位貴族が順番に呼ばれるが、一人二人くらいは私か皇妃陛下の意向で呼ぶことが出来るので、私はお姉さまの誰かを毎回代わる代わる召喚している。
こちらのお茶会は完全に政治で、穏やかに話しながら上位貴族からの要求や下位貴族から預かって来た課題が議題に出され、お茶を飲みお菓子を褒め合って食べながら真剣に検討が行われる。その結果を別の機会に皇妃陛下とお話をしてまとめて、私ならセルミアーネに、皇妃陛下なら皇帝陛下に上げて政治に反映してもらうのだ。非常に疲れるお茶会であるが、一番重要なお茶会でもあるので手も気も抜けない。
離宮区画で行われるお茶会は半プライベートなお茶会で、これに招かれる事は上位貴族婦人でも非常に名誉な事と見做される。私と皇妃陛下でも同席する事は滅多に無く、完全に私独自のお茶会となる。
この場合、開催する時には私独自の趣向を持たせることが必要で、この趣向の良し悪しで私のセンスと教養が測られるという恐ろしいものである。私がセンスも教養も無いと判断されるとどうなるのかというと「貴族婦人、ひいては皇太子妃失格」の烙印が押されてしまう。何とも恐ろしい。当然、私にはそんなものは最初から存在しないので、エステシアなりエーレウラなり、お姉さまの誰かなりに考えてもらってそれをさも「私が考えました」みたいにして開催した。だって「このお茶会は古典のあの演劇のあのシーンをイメージしました」みたいな事を私に期待されても困るもの。
ただ、何回も何回も開催していればその内覚えるし(知ったかぶりするにしてもその趣向の意味するところの勉強は必要だ)、春はこんな感じ、夏はこういう趣向が好まれるというのも分かって来るので、少しづつ自分で出来るようにはした。なかなかお姉さま方からの合格は出なかったが。後、庭園で開催する場合は季節に応じて一番きれいな花が咲く庭園を造園しておき、それを披露する事で独自色を出すことが出来た。
このお茶会も大体週に一回くらい。ここでは政治のお話もするが、基本的には楽しく社交界のゴシップについてのお話をする。ただ、こういう噂話に重要情報があり、貴族婦人の意向が混ぜられている事も多いから気を抜いてはいられない。出てくる夫人は政権に関わる上位貴族であるので、ご婦人方の機嫌を損ねるのも避けたいところである。
最後に私の住む離宮で行われるお茶会がある。離宮にまで招くというのは非常に信頼しているという事を示すので、これに出席出来れば私の非常に近しい人と見做される。実際、私が呼ぶのはお互いに招待し合って親密さをアピールする皇妃陛下か、本当に親密であるお姉さま、姪、その他一族の婦人か、そのその紹介を受けた者だけだ。このお茶会には嫌いな者は基本的には呼ばないが、マルロールド公爵夫人のようにあまりにも政治的に重要な者は好悪に関係無く定期的に招待する必要はある。
このお茶会ではかなり突っ込んだ話をする事がある。親しい人ばかりなので少し素を出して語れる重要な時間でもある。ただしやはり社交は社交で、このお茶会は私の政治的な最終結論を出す機関みたいな役割を持つ。
と、まあ、お茶会だけでもこんな感じで幾つも種類がある。外交に含まれる外国使節を招いたお茶会など定期的でないお茶会もあるし。昼の社交にはこの他にも園遊会、昼食会、美術鑑賞会、音楽会、観劇会、その他諸々の催しがあり、大規模な祭祀は上位貴族が大集合するからそれも社交の一面を持つ。
勿論夜には夜で主に舞踏会を始めとした各種夜会がある。いや、本当に皇太子妃ともなれば社交は最低でも昼一夜一で二回は確実、下手すると昼に二回か三回行われる場合もあって、本当に社交塗れなのだ。これで良くもまぁお忍びに行く元気がありますね?とエステシア辺りは呆れるほどの忙しさだが、社交はほとんど動かないし作法に気を使うから精神的に大変なだけである。身体を動かしたいのだ。
まぁ、セルミアーネが即位して皇帝になれば、私は皇妃になって皇妃室と呼ばれる執務室を授かり、政治の執務もしなければならない。元老院議員にもなるから立法にも関わる必要が出て社交だけでなく色々忙しくなるから、お忍びも難しくなるだろう。・・・それでも隙あらば出かけようと思っているけどね。
皇帝陛下はこの間セルミアーネに試合で敗れてから、譲位をお考えだ、と聞いている。
帝国の皇帝は基本的には終身制だ。崩御なさるまで皇帝陛下であるのが普通なのだ。しかし、セルミアーネは生まれの事情から何も帝王教育を受けていないし、皇太子になってから必死に皇太子業務を勉強したぐらいで、圧倒的に知識も経験も不足している。この状態で皇帝に即位するのは本人も周囲も不安に思うだろう。そのため皇帝陛下は譲位して上皇になる事で、セルミアーネを支えるお立場になってくださろうとしているのだ。
これは私も他人事ではなく、皇太子妃仕事でもギリギリの状態で皇妃になったら仕事に不具合が出るのは確実だ。今の皇妃陛下が上皇妃になってくれて支えて頂ければ本当にありがたい。
ただ、一番の問題は私とセルミアーネに子供が居ない事だった。この状態でセルミアーネが即位すると、皇太子が居なくなる。皇帝が次代を定めないのは不安の元なので、セルミアーネが即位したら傍系皇族たる公爵家から後継者指名をする必要があり、それは不和の元になるし、後から私達に子が生まれた場合に後継者争いの元にもなる。
なので私達に子供が生まれたら譲位、という予定を皇帝陛下は立てられているらしい。・・・うう、プレッシャーが。何しろ私達は結婚三年目を迎えても子供が出来ていない。皇妃陛下に怒られて励むようになってからも出来ていないのだ。
セルミアーネは気にしなくても良いと言い、皇帝陛下は慌てなくても私はまだ死なないから大丈夫だと言って下さるが、この問題に関しては皇妃陛下が兎に角厳しかった。
何時もはお優しい皇妃陛下だが、この問題についてお話しの時は別人のように厳しいお顔をされて、私に早く子供を産みなさい、ダメそうならセルミアーネに愛妾を娶せなさい、と仰るのだ。皇太子に子供が居ないと本当に後々大変なので、取りあえず愛妾に子を産ませて、あなた達の子供はゆっくり作ったらいかが?などと平然と仰るのだ。
仰る事は理解出来るが、感情的に無理だ。セルミアーネに浮気させて作って貰った子供を、私が養子にして義理の親として後継者にするなんて。私が感情的に無理なのだ。セルミアーネに浮気されるくらいなら、私は離縁して故郷に帰るわよ。
だが、今更私が皇太子妃を辞める訳にはいかないのも事実である。セルミアーネの後ろ盾は私の実家のカリエンテ侯爵家だ。カリエンテ侯爵家一族としてもセルミアーネが皇帝に、私が皇太子妃になってくれる事は権力的な意味で重要な事なので、今更私が離縁したいと言ったって許してはくれないだろう。
事実、ヴェルマリアお姉さまにこの事を相談したら、あっさりセルミアーネに愛妾を持たせる事を提案された。私の皇太子妃の座は家柄的な意味でもう揺るがないのだから、後は子供さえいれば良いわけで、それなら愛妾の子供を養子にすれば私の立場は盤石になるじゃない、と仰るのだ。これが貴族なら普通の考え方なのだろう。私は平民との常識の違いにちょっと頭痛を覚えたほどだった。平民なら旦那の浮気がバレたら妻に殺されかねないから家に入れないし、隠し子が発覚したら更なる大騒動になるだろう。
ただ、ヴェルマリアお姉さまが説明して下さることには、貴族の家で正妻の子供だけで後継者に不安が無い家の方がむしろ珍しいので、愛妾がいるのは普通の事であるらしい。ご自分の夫にもいると平然と仰った。ヴェルマリアお姉さまには男女一人づつの子供がいらっしゃるにも関わらずだ。子供は結構容易に死ぬものだし、自分の身にも何が起こるか分からないのだから、子供は多い方が良いと言うのだ。ただし、実家のように多過ぎても大変だけど。
実家では子供は全て正妻であるお母様の子供であった。実はこれが侯爵家が破産し掛けた原因で、これが愛妾の子であれば多少粗略に扱っても問題無かった。正妻の子では妻の貴族界や妻の実家への体裁があるから迂闊な扱いが出来ず、困り果てたお父様が末の娘の私を田舎に隠すような事が起こったのである。愛妾の子であれば認知だけして騎士にするか侍女にするか、あるいは神殿に入れて神官にするという手があったのだ。
このように愛妾とその子供は貴族の家にとって便利な存在なので、夫婦仲に問題が無くても愛妾を娶るのが普通らしい。単純な浮気とは訳が違うという事だ。因みに、愛妾は単純に恋愛関係になり愛妾に迎える場合や、家同士の関係を強化するためにもう一人の妻として迎える場合、妻が自分の立場の強化のために一族から迎え入れる場合などがあるそうだ。
そんな事を言われたって私には無理。例えばセルミアーネに私の持ち込み侍女のアリエスを紹介して子供を作って貰うなんて無理。セルミアーネに対しても愛妾に対しても普通ではいられなくなってしまうだろう。ただ、私のように考える貴族婦人も中には居て、愛妾許さなない絶対、という方も少なくは無いとか。そもそもお母様はお父様が愛妾を作る事を許さなかった(必要が無かったとも言う)のでどちらかと言うと私の気持ちは理解して下さった。それでも子供がいないのは問題なので、愛妾が嫌なら早く子供を作るようにと仰る。
正直、私はこの問題について考えると憂鬱で辛くなるのだった。終いには月経が訪れるとがっくり凹むようになってしまい、それを見たセルミアーネがかなり強い調子で皇妃陛下に怒ったようだった。そのせいか皇妃陛下はなるべくこの話題を出さないようにはして下さっているようだった。
ある時、貴族界では一つの問題が持ち上がっていた。バルセス伯爵家という家があるのだが、この家で跡目争いが起きていたのである。
単なる跡目争いならあまり大きな問題では無いのだが、この問題の面倒な所は、争っている兄と弟にそれぞれ有力な貴族の後援があることだった。
本来であれば問題無く兄が継ぐはずだったのだが、仲の悪い弟が異議を申し立て、それを弟の妻の実家の侯爵家が支援したのである。兄の方の妻の実家は伯爵家で、支援の強力さは弟の方が勝った。
しかし、当のバルセス伯爵家では長男に継がせたいという意向があり、しかもその本家である侯爵家も長男を支持していた。このため、二つの侯爵家がこの問題で真っ向から対立してしまったのである。
この場合、本来はバルケス伯爵家の本家筋の侯爵家の意向の方が強いのだが、家の格としては弟を推している侯爵家の方が高い上、貴族界の勢力も大きかった。正面から対立してしまうと、長男支持の侯爵家もバルケス伯爵家も後々苦しい立場になるかもしれない。
困ったバルケス伯爵家とその本家の侯爵家は皇帝陛下に仲裁を申し立てて来たのであった。こういう問題は紋章院の仲裁で上手く行かなければ皇帝裁判所で皇帝陛下が判断することになる。
皇帝裁判所は皇帝陛下がご裁可を下す絶対裁判所だが、だからと言って皇帝陛下の我儘がなんでも通るというわけではない。ご裁可を下すまでに皇帝陛下がお互いの言い分を聞き、貴族界の意向も加味してご判断なさるのだ。
この場合、皇族の意見も取り入れられる。社交に出る回数が多い女性皇族は貴族界の意見に触れ易いので、その判断は重要視されるのだ。
この問題に関して言えば、皇妃陛下のご意見は弟支持だった。皇妃陛下のご実家が弟を支援している侯爵家だったからである。これはやむを得ない。皇妃陛下自身のご意向はどっちでも良いとの事なので、消極的支持ではあるが。
皇妃陛下が支持しているのなら、皇帝陛下も特に理由がなければ同じ方を支持する。私もセルミアーネも同様だ。しかし、この問題に関して、私が社交で色々な意見を聞いた限りでは、弟の方は色々問題のある人物であるらしかった。
どうも本来は政治にも領地の統治にも興味が無いらしく、妻の実家に唆されて跡継ぎに名乗り出たものらしい。対して兄の方はしっかりした人物で、社交界における人気も弟よりも断然高かった。
私にとって致命的だったのは、弟の方の妻の侯爵家出身の夫人が、マルロールド公爵夫人の取り巻きの一人であることで、何度か公爵夫人と一緒になって私の田舎育ちを馬鹿にされた事があるのだった。
という事は。弟の方がバルセス伯爵家を継ぐと、伯爵家はマルロールド公爵家の勢力の傘下に入るということになる。エベルツハイ公爵夫人のお姉様が私の有力支持者である以上、対立するマルロールド公爵家の勢力が増すのは私としては好ましくない。
私がセルミアーネにその事を言うと、彼もマルロールド公爵家の勢力は大きくしたくないという事で、彼も兄の方を支持する事になった。
さて、ここからが私のお仕事である。私は社交に出る度に私とセルミアーネは兄の方を支持することをそれとなく広めた。「藤の離宮の意向としては長子は敬われるべきだと思いますわ」などと遠回りに。同時に弟を支持する者たちにそれとなく圧力を掛ける。特にマルロールド公爵夫人には「他所の庭に植える花の種類に公爵ともあろうものが口を出すような無粋な真似は致しませんでしょう?」と直接の介入をさせないように牽制しておく。直接支持している侯爵家にはもっとはっきりと「バルケス家の長子には赤い布が掛かりました」と皇太子夫妻は長男を支持すると伝える。
こうなると私を支持するカリエンテ侯爵一族が長男側に付き、情勢は長男有利に傾いた。同時に私は皇妃陛下に自分の意向を伝える。皇妃陛下も情報で弟が当主に不適格な人物であることは掴んでいたので、ご実家には言い含めておくと仰って下さった。
そういう根回しの結果、皇帝陛下が夜会の際に関係各人の話合いを促し、結局は円満に長男が後を継ぐことになったのであった。
社交の役割とはこんな感じに対立を表立たせずに問題を解決する事である。これが皇帝裁判所が開催され、白黒はっきり付ける解決になると将来に大きな禍根が残る事になってしまう。皇帝陛下への不満も出かねない。
社交で勢力図が確定したら、素直に引くのも上位貴族の処世術で、今回の場合引いてくれた皇妃陛下のご実家の侯爵家には私からの貸しが出来ている。この貸し借りは後々侯爵家が譲れない問題に直面した時に効いてくるので、侯爵家もただ転んだわけではないのだ。
こういう利害の貸し借りをうまく回して、なるべく円満に政治を運営し、そのために社交に励むのが皇太子妃のお役目である。ね?遊んでいるばかりでは無いでしょう?バルケス伯爵家の問題程度の話はそれこそ毎月のように出るのだ。
私は比較的意見がはっきりしている方だし、私が強い意向を示した場合にはセルミアーネは必ず私の意見を取り入れてくれる。皇太子夫妻が一致して意向を示した場合、両陛下も私達の意見を支持してくれる事が多い。つまり、私の意向は帝国においてかなりの重要性を持つようになっていたのである。
これは一見良い事のようだが、私の迂闊な判断が帝国を誤った方向に導く可能性が高くなるという事でもあり、私が社交で感情的な対応をすれば、相手の貴族界での地位が大きく変動しかねないという事でもある。より社交の面倒さが増したわけである。なかなか故郷で子分を従えていた頃と同じ様にはいかない。あの頃はいう事を聞かない子分は殴ればよかったのだが。
ただ、私はあの頃と同じく弱いものイジメは私の社交の場では絶対に許さなかった。身分の高い者が故なく下位の者を虐げた場合、私は高位の者を嗜め時には叱責した。無条件に下位の者を庇ったのである。これは上位貴族には理解されなかったが、庇護される下位の者からは非常に感謝された。実際、何回か潜り込んだ下位貴族の社交の場では「皇太子妃殿下は身分に関わりなく正しいものは評価してくださる」という評判だった。
あの成人のお披露目の大騒ぎの件も絡めて、私は下位貴族からは希望の星と見られている様だった。そんなに頼りにされて無碍に出来る性格では無い私は、下位貴族の要望で上位貴族の権益に抵触しない様なものは積極的に叶えたのだった。おかげで下位貴族の皆様は実家とは別に私の有力な政治的基盤となったのである。
私はそんな感じで日々お仕事にも励んでいたのであった。その頑張りは皇帝陛下も皇妃陛下も認めて下さって、だからこそ色々なアレコレの許可が出たのである。そうアレはご褒美なのだ。
そんな風にして私が皇太子妃になって二年が過ぎた。結婚してから四年。私は二十歳になっていた。毎日毎日お仕事をし、たまに息抜きをしながら頑張っていた私に、待望していた事件が起こったのは、秋のある日の事であった。
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