第4話
一週間が過ぎた。
「良美ちゃん、どないしたん。家族の病気で休むて、びっくりしたで。」
「ごめんな、美紀ちゃん。お母ちゃんの具合が悪うなってなあ。病院に連れて行って、検査や何やかんやで……結局、自律神経失調症やろうかて、いうことやねんけど、人によっては、色んな病気につながってしまうこともあるんやて。お父ちゃん、お医者さんに、えらいおこらえてな。もっと奥さん大事にせなあかんて……ストレスかけるようなこと、絶対にしたらあかんて、なんべんも言うてくれはってな……フフフ……お父ちゃんと同い年くらいの男の先生やったけど……ええ先生やわ。」
「せやったんかいな。大変やったなあ、良美ちゃん。」
「あんなあ、お父ちゃん、買い物したり、料理してるわ。おうどんとか湯豆腐やけど……それから、洗濯機の使い方、教えてくれやて……笑うやろ。」
「良美ちゃんのお父さん、あんまり、家事とか手伝わへんかった人やろ?すごい進歩やんか。」
「うちが、もっと、お母ちゃんの話、聞いたりて言うても、お父ちゃん、全然やったけど、今回は、心底こたえたんかもしれんわ。お母ちゃんかて、なんや、嬉しそうにお父ちゃんに甘えてはるわ。うち、やっとわかったわ。あの二人、話し合うより、お互いに世話をやくほうがええんやわ。うちの家、美紀ちゃんとこより、早うにおじいちゃんとおばあちゃん、見送ったやんか。もっと、夫婦で仲良うしたらよかったのに、ようやく今になってや。ところで、美紀ちゃんとこの遺品整理、どないなったんや?」
「遺品整理やのうて、模様替え、できたら、プチリフォームしようてことになった。」
「へええ。それはまた……」
「一番上の、美和姉ちゃん、おめでたやねん。」
「あの、おばあちゃんと喧嘩して、愛をつらぬいたお姉ちゃんやな。」
「まあ、真ん中の美緒姉ちゃんも似たようなもんや。美和姉ちゃんの代わりはかなわんて言うて、これまた、さっさと、長男の人と結婚したし。うちのおばあちゃん、女三人姉妹の長女でな、責任感のかたまりやったんよ。郵便局、継いでくれる男の人やったら、誰でもええて、おじいちゃんと結婚したん。おじいちゃん、小学校の先生やったのを辞めて、郵便局の局長にならはってん。せやから、美和姉ちゃんにも、自分とおんなじようにせえて言わはって。お母ちゃん、カンカンに怒って、家のなか大荒れ。今、思い出しても、大変やったわ。まあ、ええ機会や。おばあちゃんが亡くなって、模様替えしたら、お姉ちゃんも帰ってくるわ。産後、お母ちゃんに甘えたいに決まってるし。お父ちゃんかて孫のためやったら、水回りもやり直そうかとか、すごいジジバカやな。」
「美紀ちゃん、ちょっと、思うところはあるやろけど、まあ、よかったとしいな……」
「せやな、良美ちゃん。そう思とくわ。」
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