第一章

ハルじいの家

目が覚めて横を向いたら歳をとったおじいさんが胡座をかいていた。

「ようやく起きたかい。」

「誰だ。」

俺は聞いた。

「海辺で倒れておったところを助けてやったのに『誰だ』とはひどいのう。」

そんなことはどうでもいい。

「それよりお前の名前だ。」

「お前ではない。わしは、みんなからはハルじいと呼ばれておる。」

「本当の名前はなんなんだ?」

俺が聞くとハルじいとやらは首を振って

「わからん。とっくの昔に忘れておった。」

そしてハルじいは聞いてきた。

「それでお主の名前は?」

「俺の名前は…」

ハルじいに聞かれて答えようとしたが…

…俺の名前はなんだ?




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