猫のワルツ
一色 サラ
第1話
犬は猫に言った。
『そこにある。僕のご飯をとってくれ』
『いやよ。』
猫は、棚の上から犬を見下ろしながら、言った。猫に断れて、犬は困ってしまった。どうしても、食べてたい。
『君のシッポで、落とせるだろう』
『昼寝を邪魔しないで。』
犬は猫にそう言われても、食べたい。犬は棚の上を見つめる。猫の隣に置かれているドックフードの入っている袋をじーと見つめて、どうやって下に落とすかを考える。
『そんなに食べたいのかい?』
猫は、呆れたように言った。
『食べたい!!』
『じゃあ、走って取って来ておいで』
猫はシッポで袋を叩いて、一粒だけ出て来て、犬の後頭部を越えて行って、落ちた。それを走って、パクっと食べた。
また、袋を叩いて1粒が棚のすぐ近くに落ちた。それを、また犬は走って行って食べる。
『走りなさいよ』
猫はワルツを奏でるように、リズミカルに袋を叩いていく。何粒もドックフードが部屋中に散らばっていく。犬はジャンプして、落ちそうな1粒を食べて、また違う所に落ちた粒を食べに行く。
部屋中に、ドックフードまみれになって、犬は嬉しくなって、ソファの隙間やカーテンの下。テーブルの下にもぐって、パクパクと隠れているドックフードを食べに行く。いつの間にか夢中になって食べていた。
*
「ただいま」
ご主人が帰ってた。犬は慌ててしまった。食べたのがバレたら怒られる。
「なんで、ドックフードまみれになってるんだ。」
ドックフードの袋が棚から床に落ちていた。もう棚には、猫の姿はなかった。
「チロ、何してるの?ダメでしょう。こんなに散らかして。」
犬だけが怒られる結果となった。
犬は猫の手を借りたことで、ご主人にすごく怒られてしまって、もう猫には何も頼まないと決めた。
猫のワルツ 一色 サラ @Saku89make
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