第14話 鑑定スキルと付与魔法
『アイテム:金鎚(ランクA) アドソープション完了――EXPを200獲得――レベルが上がりました。新しく『性能回復』が追加されました――レベルが上がりました。新しく『鑑定』が追加されました。スロットが追加されました。得られた知識と経験をマスターに転送いたします』
「えっ」
俺は慌ててステータスを確認する。
『
ミストルティン
レベル:4
EXP:219 NEXT 350
形 態:デフォルト
モード:アドソープションモード
《アイテムスロット》
1:ノコギリ 2:金鎚(ランクA) 3:なし
《スキル》
アドソープション・使用法理解・経験取得・性能回復・鑑定
』
一気にレベルが2も上がったのも驚いた。
だけどそれ以上に追加されたスキルに俺は心を奪われる。
「鑑定スキルって言えば異世界ものの花形スキルじゃないか」
「おい、どうした兄ちゃん」
ステータス画面と金鎚の間で視線を彷徨わせていた俺に、ルリジオンが心配そうに声を掛けてくる。
「聞いてください。この金鎚なんですが」
俺は金鎚を持ち上げると、ルリジオンに向けて突き出す。
「これがどうかしたのか?」
「これ、ランクAの金鎚だったんですよ!」
「え……ランクAだと。このぼろっちい金鎚がか?」
ルリジオンは突き出された金鎚を奪う様に手にすると、目を細めてじっくり確認し始めた。
「わっかんねぇな。俺には普通の金鎚にしか思えねぇ。本当にランクAだとしたら王国でもトップクラスの鍛冶師が作ったモンだぞ」
「そうなんですか?」
「ああ、本当にこいつがランクAの品モンだったとしたらトンだ掘り出しモンだぜ。しかしそんなモンがどうしてこんな所に……」
何やらぶつくさと金鎚を片手に考え込み始めたルリジオンを俺は放置することにして、新しく得たスキルについて確認する。
まずは鑑定スキルについてだ。
使い方はアドソープションと同じく、ミストルティンを鑑定したいものに触れさせて発動させるだけらしい。
ということでとりあえず試しにノコギリを鑑定してみる。
「鑑定っと」
『品名:ノコギリ ランク:D 説明:片刃の鉄製ノコギリ』
「ランクDね。あと鉄製なんだ」
俺にはランクDがどれほどのものなのかはわからない。
だけど普通に流通している品物が大体D位なのではないだろうか。
「だとするとやっぱりランクAって凄いんだろうな」
といっても見ただけでは正直普通の金鎚と何が違うのかわからない。
というわけで早速鑑定してみようと俺はルリジオンにそのことを告げた。
「鑑定スキルだぁ? おいおい、その枝っコロはそんなことも出来るのかよ」
「さっきその金鎚をアドソープションしたおかげでレベルが上がって新しくスキルを覚えたんです」
「そういやレベルアップしたおかげで経験取得とかいう力が追加されたって言ってたな」
そのおかげでオークに勝つことが出来たことを彼には話した。
「はい。今回もレベルアップしたおかげで二つほどスキルが増えました」
「二つもか、そいつぁすげぇ。それで鑑定と後何が増えたんだ?」
「えっと……性能回復ってスキルなんですけど。まぁこっちは跡で説明しますよ」
俺はそう言いながらルリジオンが手にしたままの金鎚にミストルティンの先を当てる。
「鑑定」
そして早速スキルを発動させた。
『品名:金鎚+ ランク:A 付与:垂直打ち 説明:高純度の鉄と技術で作られた逸品。壊れにくく錆びにくい』
先ほどのノコギリと違って『付与』という項目が増えている。
たぶん付与魔法の様なものが掛かっていて、それがランクAとなっている理由の一つには違いない。
品名に付いている『+』は付与付きという意味だ。
「なるほどなぁ。それでリリでも釘を真っ直ぐ打てたのかぁ」
俺が鑑定結果をルリジオンに教えると、彼は何やら思い当たることがあった様だった。
「それって『垂直打ち』とかいう付与のことですか?」
「おうよ。あの家にある家具とか俺様が作ったんだがよ」
その時、自分も手伝いたいと言うリリエールに簡単な釘打ちを任せたらしい。
曲がっても後で直そうと考えていたルリジオンだったが、予想に反してリリエールの打った釘はどれ一つとして曲がっておらず。
結果彼女は『これからも釘打ちはリリがやる!』と言って聞かなくなってしまったとか。
「まぁ、手伝ってくれるのはありがたかったからな。しかしこの金鎚が付与アイテムだったとは驚いたぜ」
「ですね」
「とりあえずコレは大事に使わせて貰うとするぜ」
ルリジオンはそう言うと金鎚を軽く布で拭いてから腰のベルトに差し込んだのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます