3.伊達君は対抗心を燃やした!

 今日もお店が終わった。伊達君は、お掃除やら、陳列の直しやら、閉店準備をこなしてくれている。その間に、私はバーゲン品の準備に今日の売り上げの確認。伊達君が来てくれて助かってるけど、下着のお店に男の子はねえ・・なんて思ってると、伊達君が私の前にやってきた。


 「店長」


 伊達君は私を店長と呼んで、私に敬語を使う。同じ年だけど・・よくできた子だ。しかし、急に伊達君に話しかけられて、びっくりしちゃった。


 「な、何よ」


 「僕、昨日の帰りに、駅前のショッピングモールに行ってみたんです。そしたら、きれいな下着屋さんがあって・・うちの店って、あの下着屋さんに負けてませんか?」


 それを言うなって・・私も一番気にしてることなのに・・


 「そうよ。負けてるわよ。負けも負け。ぼろ負けよ」


 「あの店、若い女性のお客さんが多かったんですが、店長はまさか自分の下着をあの店で買ってませんよね?」


 「・・・」 


 痛いところをつかれた。私は自分の下着をそのお店で買っていたのだ。


 「えっ、もしかして店長は自分の下着をあの店で買ってるんですか?」


 「いいでしょ。どこで買おうと私の勝手でしょ」


 「いや、良くないですよ。店長が自分の店で下着を買わないなんて」


 「・・・」


 「店長がそんなんじゃ、困りますよ」


 「あんたに言われたくないわよ。じゃあ、どうすればいいって言うの?」


 伊達君が胸を張ったの。


 「僕がうちの店をあの店に負けない店に変えて見せます」


 「えっ、変えるって、どうやって?」


 「まあ任せてください」


 そう言うと、伊達君は奥へ引っ込んだの。


 そしてね、奥から出てきた伊達君の姿を見て、私はぶっ飛んじゃった!


 


 

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