2.アルバイトを雇ったぞ!

 私、これは下着ドロだって思ったの。いるのよね。下着を盗んでいく変なのが・・


 私、「ドロボー」って叫んで、その若い男に組み付いたの。すると、その子は簡単に床に倒れちゃった。


 何だ、男のくせに弱いじゃん。


 私、スカートだったけど、その子の上に馬乗りになって「あんた何者?」って声を掛けたのよ。そしたら、その子が「あ、あの、アルバイトに来ました」って言うの。


 私、あわてて、その子から飛び降りたわ。


 「ア、アルバイトですって?」


 その子は立ち上がると、服に着いた砂を払いながら答えたの。


 「はい、店の前の張り紙を見て・・」


 私は面食らってしまった。だって、うちは下着屋さん。女性の下着を売ってるのよ。思わず、その子に言ったの。


 「あなた、うちは何を売ってるか知ってるの?」


 「はい、下着です」


 「し、下着って・・あなたねえ・・」


 そこへ、女性のお客さんがお店に入ってきたの。そしたら、その子が出て行って、「いらっしゃいませ」なんて接客を始めたの。私があっけに取られて見ていたら、なんとその子がブラとショーツのセットを売っちゃったのよ。


 私は思ったの。まあ、いいか。あんな男の子でも、猫の手ぐらいにはなるかってね。こうして私は、その男の子をバイトに雇ったのよ。


 男の子は私と同じで、この春から高校2年生になるって言うの。名前は伊達君と言った。こうして、私と伊達君がお店を切り盛りすることになったのよ。

 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る