幼馴染に手伝ってもらう対価として、キスを要求されたんだが⁉
さばりん
勉強を教えてもらう対価はキスでした
ヤバいよ、ヤバいよー!
俺、
何がやばいって?
そりゃ、明日から始まる期末試験に決まってるじゃないか。
俺は、この期末試験で三教科赤点を取ってしまったら、落第という危機に瀕しているのだ。
そんな中、俺の部屋のベッドで呑気にくつろぎながら、スマホで動画配信を観ながら爆笑している女が一人。
女の名前は
智子の笑い声が部屋中に響き、俺の集中力が完全に切れてしまう。
俺は盛大にため息を吐いてから、身体を智子の方へと向けた。
「なぁ智子。少しは俺の身にもなってくれ」
「えぇー? だって今さらそんな必死こいても仕方なくない?」
「分からねぇだろ。テストはまだ始まってないんだ。一夜漬けすれば、いい点数は取れなくても、赤点は回避できるかもしれないだろ?」
「その考えが甘すぎ。ほんと砂糖菓子より甘いね」
「んぐっ……」
智子の正論パンチにぐうの音も出ない。
しっかりと智子のように、数週間前から計画的に勉強していれば、今こんなに切羽詰まって勉強する必要などなかったのだから。
「というか、哲夫はむしろ、私にするべきことがあるんじゃない?」
にやりとした笑みを浮かべ、智子が首を傾げてこちらを見据えてくる。
俺はぐっと唇を噛み締めてから、椅子から降りて床の上に正座で座り込むと、そのままプライドを捨てるようにして頭を下げた。
「智子様お願いします。赤点回避のために勉強を教えてください」
「ったくしょうがないなぁー」
俺の言葉を聞いた智子は、渋々と言った様子で起き上がると、ベッドから降りて俺の元へとやって来る。
「私が哲夫に勉強教えてあげる」
「ほんとうにありがとうございます!」
「いいって、私も哲夫が落第なんてことになったら嫌だしね。ひとまず、今日から期末試験最終日までは付き合ってあげる」
「マジで天使かお前は」
「違うっつーの。大天使だっての」
「ははぁーっ、大天使様ー!」
俺はもう一度、大きく頭を下げた。
「ほら、とっとと顔上げて席に座りな」
「はいっ!」
智子に言われた通り、俺は席に着く。
すると、智子が当たり前のように俺の首に手を回してくっついてきた。
「あの……智子さん?」
「ん、何?」
「ち、近いんですけど?」
「何か問題ある?」
問題大有りだね。
智子の柔らかい部分が色々と当たってるし、ふんわりといい香りまで漂ってきて、これじゃあ全く勉強に集中できる気がしない。
「ったく哲夫はわがままだなぁー」
言葉の意図を理解してくれたらしく、智子は俺から離れてくれる。
物分かりのいい幼馴染で助かった。
俺がほっと胸を撫で下ろすのも束の間、智子がとんでもないことを言ってくる。
「その代わり、一問正解するごとに私にキスね♪」
「……はぁ⁉」
「あれぇー? いいのかな? 私がわざわざ哲夫の落第回避のために今から勉強教えてあげるんだよ?」
「いや、キスってお前……それこそ本末転倒じゃねーか」
「どうして?」
朋子は分からないといった様子で、きょとんと首を傾げる
「だ、だから……智子にキスするたび、勉強したものが記憶から消し飛ぶだろうが……」
「そんなことないって。むしろ、色んなキスを試すことによって、『あっ、この問題あのキスの時に教えてもらった問題だ』ってテスト中に思い出せるでしょ?」
「テスト中に思い出したら恥ずかしすぎて余計に集中できないわ!」
「ふぅーん断るんだ。それじゃあ、勉強教えてあーげない。帰ろっと」
「えっ……ちょっと待ってくれ!」
夜も遅くまで更けており、俺が頼れるのはもう智子しかいないのだ。
こんな状況で、俺が出来ることは一つしかない。
俺は手を伸ばして智子の肩を掴み、そのままくるりと身体を回転させると、そのまま一気に顔を近づけ、思いきり口づけを交わした。
数秒の沈黙が部屋の中を支配した後、すっと智子の唇から離れて吐息を吐く。
「ふふっ……分かってるなら早くシて欲しかったんですけど」
「し、仕方ねぇだろ……俺にもプライドってもんがあるんだよ」
「さっき土下座までして、猫の手を借りようとしてたのは誰だか?」
「う、うるせぇ……」
そう、何を隠そう、智子は生粋のキス魔なのだ。
つまり、キス大好き彼女なのである。
こうして、俺は機嫌を直した智子に勉強を教えてもらいながら、設問を解き終えるごとに、智子の身体へ余すことなくキスをしていき、気づけば夜が明けていたのであった。
幼馴染に手伝ってもらう対価として、キスを要求されたんだが⁉ さばりん @c_sabarin
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