生まれた意味

 少し前、地下にて



「わたし……は……っ!!」


 私と同じ顔をしたに左手の刃を突き立てる。

 その顔に宿る表情は絶望ではなく、どうしたらこの状況を抜け出せるか?というものであった。

 要するに彼女は諦めていなかった。

 なんだよ……なんだかこれじゃ私が悪者みたいじゃないか。

 まぁ、そうか。

 彼女は被害者だった。純粋に見た目だけが同じであればまだいい。しかし、彼女の場合はどれくらい完全かは知らないけど、どうやら私の記憶が存在している。

 今まで生きてきた人生が、実は誰かに作られたものだったという事実。そんなどうしようもない現実を突きつけられ、なお彼女は自身を諦めず、希望を捨てない。

 立派だと思う。さすがは私のレプリカだ。……でも、こっちだって譲ることはできない。このという椅子に座れるのは私だけなんだ。だからせめて、オリジナルである私がこの子の結末を決める。

 責任を取るってそういうことだと思う。


「わたし……は……あなたを認めない」


 レプリカが、口を開く。


「へぇ……じゃあここで今すぐあんたの首をはねちゃうんだけど、遺言はそれでいい?」


「だから、提案よ」


「……提案?」


「わたしと、決闘しなさい」


「は……?あんたさぁ今の状況分かってる?そんな私にメリットが無い提案、飲むわけないでしょ?え?馬鹿なの死ぬの?」


「ここからの脱出手段」


「……」


「あなたが前にここをどうやって脱出したかなんて、大体想像がつく。わたしが教えるのは、そんな脳筋みたいな方法じゃないわ。わたしと決闘して、あなたが勝ったらここから安全にそして確実に脱出できる方法を教えてあげる」


「そんな提案……飲むとでも」


「いや、飲む。だって……あなたはわたしのオリジナルだから」


 悔しい、が妙に説得力のある物言いだった。

 恐らくこの感覚は、私とあいつにしか分からないものだろう。この提案が嘘の可能性もなくは無いけれど、恐らくこのままこうしていてもこいつは喋らない。結局のところこいつを破壊するか、提案を飲むかの2択しかない。

 それにどのみち時間も無かった。


「……いいでしょう。癪だけどあんたの提案を飲む。だけど一つ教えて。この提案を飲むことであんたに生じるメリットは何?」


「それもわたしに勝ったら教えてあげる」


 まったく、めんどくさいやつ……一体誰に似たんだか。

 私は十分に警戒しつつ、レプリカの拘束を緩め、距離を取る。

 これで状況は振り出しに戻った。


「自分で言っておいてなんだけど……あなた、ずいぶんあっさりわたしを解放したわね」


「そりゃそうでしょ。だって……あんたは私のレプリカだから」


「レプリカ……ね。それで、ルールはどうする?」


「提案したのはあんたでしょうが……じゃあ、行動不能になった方の負けってことで」


 後々のことを考えれば行動不能にするのではなく、完全に破壊しておくに越したことはない。しかし、現状あいつにはここからの脱出がいつでも可能という圧倒的なアドバンテージがある。

 その手段を聞き出すまでは、私はあいつを殺すことができない。


 勝利条件は瀕死ギリギリまで肉体を追い込み、かつ相手の心を折ること


 私は状況を俯瞰する。

 先の地上における戦闘のこともあり、現在私たちは結構ボロボロである。

 私の左の刃はチェーンソーをパリィした際に先端が欠けてしまっている。

 右のロケットパンチはスイングや複数の戦闘で消費した結果、あと何発打てるかわからない。実際、ロケットパンチについてはその辺の仕組みが分からないので一体あと何発打てるのか、そして一度打てなくなったらリチャージはどうすればいいのかなどその全てがわからない。……今ではあのおっさんに聞いておけばよかったと少し後悔しているが、無い物ねだりをしてもしょうがないので、ここはこれ以上あまり考えないようにする。

 対するレプリカの装備

 左手には禍々しいチェーンソー。

 右手は先がないが、そこそこの威力の砲撃を放つことができる。

 基礎的な身体能力は先の戦闘から、恐らく私と同等であると考えられる。

 さて、これらの情報からどういった戦術が組み立てられるのか?

 ……こういうのはシキの得意分野であって、私の性分には合わないんだけど、今回ばかりはそうもいかない。

 スペックでは圧倒的に不利……だったらこちらは発想で上回るしかない。


「……わかった。スタートはどうする?」


 開始の合図ってことかな?意外と律儀だ。

 私はふと自身の足元を見る。


「そうね……っと、じゃあこれでどう?」


 私はちょうど足元に転がっていた量産品の頭を取り出し、右手で掲げる。


「どうって……まさか」


「これ上に投げて、地面に落ちたら開始ね」


「あなた……それ自分でやってて何とも思わないわけ?」


「……?全然?我ながらいい顔してるなーと思う」


「……いいのは顔じゃなくて性格の方でしょ……まぁ、いいわ。それでいきましょう」


 私は右手に持っているそれを、真上に放り投げた。


「お互いこれが最後になると思うけど、遺言とかある?」


 頭上から、ゆっくりと、でも確実にその時がやってくる。


「ぶち殺してやるわ……!!」


 決闘が始まった。



「そんなあなたに〜〜プレゼントッッッッ!!!!」


 私は右足を思いっきり振り抜き、落下してきた頭部をレプリカに向けて思いっきり蹴った。


「……ッ……!?」


 レプリカの顔面が驚愕の色に染まる。

 しかし彼女は一瞬で冷静さを取り戻し、自身に向けて放たれたそれを難なく回避した。まぁこれは予想通り。実際はここで少しでも動揺してくれれば儲けものだった。

 続いて、私は右手のロケットパンチを発射する。

 その間レプリカは真っ直ぐ私の方へ近づいて来ていた。

 放たれた右手と、レプリカがまもなく接近する。

 ここで私は左手で自身の右上腕を掴み、思いっきり下に向け、発射の角度を変える。私のロケットパンチは右手だけが独立して発射するタイプではなく、ワイヤーに繋がれた右手が謎のガス噴射の勢いを利用して、目標に到達する仕組みだ。だから、根本のワイヤー部分を動かすことで、放たれた右手の角度を僅かでもコントロールできるのでは……?つまり、放たれた後の右手を相手の動きに合わせて動かすことができる、いわばマニュアル式の追尾ロケットパンチができるのでは?と考えたわけだ。

 しかし、これだけではいささかパンチが足りない。だから


「加速しろっっっっ!!!!」


 追加のガス噴射。

 これはオッサンの改造によってできるようになった追加機能だ。

 まさか、パンチの角度が途中で変化することならまだしも、それが加速するとは思っていなかったのだろう……案の定レプリカは反応しきれず、右手のアッパーをモロに顔面に食らった。


「……ガ……ッ……!?」


 レプリカの身体が後方に傾く。


(今がチャンス……ッッ!!)


 私は全速力でヤツに接近し、同時に左の刃を抜刀する。

 その時、私は見た。


「……ま……だ……っ……!!」


 顔面に一撃をモロに食らってなお、ヤツの視線は私から途切れない。


 瞬間、砲音が轟く


 撃たれたかと思い、一瞬身体が強張る。

 しかし、砲撃が放たれたのは、私に対してでは無かった。


 ィィィィィイイイイインンンンンンンン……!!!!!!


 見れば、ヤツは既に体勢を立て直し、チェーンソーを起動している。

 恐らくさっきのは砲撃を対人用ではなく、倒れる方向と逆方向に噴射し、その反動を利用することで後方に傾く自身の体勢を立て直したのだ。


 進化している


 あの砲撃の使い方は、ついさっきまでのヤツには無かったものだ。私でもあんな使い方は思い浮かばない。別に最初からヤツのことを侮っていたわけでは無かったけれど、警戒を改める必要があるみたいだ。


 それからヤツはその勢いのまま、チェーンソーを振り抜く。


「……シッ!!!!」


 選んだ攻撃手段は切断ではなく、刺突。

 回転する刃が眼前に迫る。


「なんのっ……!!」


 私はそれを難なく回避する。しかし


「ハァ……ッッ!!」


 次の瞬間、刃を地面と水平にし、そのまま横薙ぎに一閃する。

 私は左から来る脅威を、地面に伏せるようにして何とか回避する。

 その時、私は見た。

 ヤツの右手の照準が、こちらを向いている。

 再度砲音が轟いた。


「ぐうっっっ…………ッ!!!!」


 右手に走る衝撃に少しだけ顔が歪む。

 私は砲撃が放たれる直前、一か八かロケットパンチを放った。

 それがちょうど私への直撃を遮る形で迎撃された形になる。

 直撃するよりは100倍マシだったけど、結局痛いものは痛いし、結果として僅かな硬直時間がこちらに発生してしまった。


「く……た……ば……れぇぇぇぇぇぇええええ!!!!」


 その隙を逃さず、今度は右側から脅威が迫る。


 あーやばいやばいやばいよどうすんのこれ


「……なんてね⭐︎」


 ここで私が選択したアクションは回避でも後退でも停滞でもなくだった。

 再び左刃を構えつつ、レプリカに接近する。


「……!?……なにを…………っ!?」


 接近するチェーンソー

 私はそのを狙い、思いっきり左刃を突き立てた。


「それもらうねっっ!!」


 刃が交差する。

 次の瞬間、主を無くしたチェーンソーが宙を待った。

 私は勢いを保ったまま右手を発射する。

 狙いは私の後ろに吹っ飛んだチェーンソー。

 それを発射した右手により空中で掴む。

 ワイヤーの収縮、一連の動作で発生した遠心力、そこに体重を乗せ、全力を込める。

 準備は整った。

 全てはこの一撃のために


「ハァァァァッッッッッッッッ!!」


 横薙ぎに一閃


「…………ぁ…………?」


 レプリカの身体が上下に切断される。

 勝利を確信したその時だった。


 砲音が鳴る


 まず衝撃が来て、気づいたら私は地面に転がっていた。


「いっ……た……」


 勝負には勝ったし、殺し合いにも勝った。

 でもヤツはチェーンソーを奪われ、自身の身体が切断されてなお諦めなかった。

 最後に一矢報いようと、私に攻撃を放ったのだ。もし同じ状況になった時、果たして私に同じ行動が取れるだろうか?

 認めよう。あの瞬間、気持ちにおいて確かにあいつは私を超えていた。

 さすがオリジナルが私なだけはあるよね。

 まぁそれはそれとして

 とりあえず勝負もついたことだし、早くやつから脱出法を聞き出さなくては


「…………」


「おーい!!生きてるー?まだ死んじゃダメよー!!」


 ぺちぺちぺちぺち

 地面に転がっているレプリカの頬を叩く。


「おら吐け〜私をここから脱出させろ〜」


 ぺちぺちぺちぺち

 さらに連打。

 これだけ叩けばたとえそれが心停止してる人であってもイライラで飛び起きる頃だろう。というかベースが私なんだから、たかが真っ二つになったくらいで死なれても困る。

 あと


 ガンッッッッ!!!!


 と、私はヤツの左腕を右足で踏んで押さえつける。

 やれやれ、全く油断も隙もない。

 どうやらまだ私を不意打ちしようとするくらいの元気は残っていたらしい。


「……ッ!!」


「あんた状況わかってる?そんな状態じゃあ流石にもうゲームセットでしょうが。……さっさと脱出方法を吐きなさい。そしたら、一思いにサックリとどめ刺してあげるから」


「なんで……っ!!……なんで……勝てない……ッ!?」


「そりゃあ私の方が強いからでしょ。もしかしてそんな簡単なこともわからないの?」


「身体の……スペックも……武器だって……わたしの……方が……!!」


「あー……まあね?確かにそうだね。そうなんだけど私さ、絶対的にあんたに足りないものをいっぱい持ってるのよ」


「…………?」


「経験よ。あんたはさ、今まで私以外の誰かと戦ったことある?」


「そんなの……当たり前n


「当たり前?でもそれ元々私の記憶じゃん。言っとくけど、記憶と経験は別物よ。例え頭で覚えていても、


「……身体……」


 確かに、私と彼女の戦力差は覆し難いものであっただろう。しかし、それはあくまで。戦闘の結果はなにも武力のみで決まるわけじゃない。

 どれだけシミュレーションを重ねても、1回の実戦には敵わない。ましてや、実戦経験も無く、記憶で知っているだけの状態など戦地のドキュメンタリーを見て知ったつもりになった安全圏から口を出す軍師様並に貧弱だ。

 たとえどれだけ良い武器を持っていようが、残念ながらそんなお嬢ちゃんに負けるほど私は弱くない。


「上であんたと戦った時から、気づいてた。……ああ、こいつ人と戦うの初めてなんだって。でも、さっきのは良かったと思う。あと数回やれば勝ち目が見えてくるんじゃない?確かにあんたはここ数回の戦闘だけで急激に成長してるよ。けどね、あんまり誇れることじゃないし、こんなこと偉そうに言いたくもないんだけど、あんたと私じゃあくぐってきた死線の数が


「……ょ」


「……?なんか言った?」


「そんなこと……わかってたわよ……!!」


 私を睨みつけ、彼女は言う。


「だって……今までわたしは……でも結局、わたしは……あなたじゃなくて!!……じゃあ、じゃあそんなわたしは一体どうしたら良かったの!!??わたしは、あなたたちを陥れるために生まれて、でも何もできなくて、このまま、無意味に死ぬしかないのなら……仕方ないじゃない……もう、残された選択肢はあなたを殺して、わたしが、!!」


「……ねぇ一つ聞くけどあんた、もしかして後悔してんの……?そもそもあんたには二つの選択肢があった。別に、私たちに恭順して生き残る道だってあったんだ。でもそれを拒んででも、あんたは私になりたかったんじゃなくて、真正面から私を超えて誰でもないあんた自身になりたかったんじゃないの?その考えはすごく立派なことだし、私は好きだよ。でもその気持ちを否定しようって言うなら私はあんたを軽蔑する。脱出法なんてもうどうでもいい。それ以上さっきまでのあんた自身の覚悟を汚すのなら、今すぐあんたをスクラップにして、その口永遠に開かなくしてあげる」


 ……あ、やべ、ちょっと言いすぎちゃったかな。

 にしてもまさか私の口からこんな言葉が出てくるとは思わなかった。私はけっこう興味ないことに関しては冷めた性格をしていると思っている。大体のことに関して熱くなったり、情緒が揺れることは無い自信がある。しかし、こんな言葉が出てくるあたりどうやら思っていたより、このレプリカに対して私は思うところがあったらしい。自分でも少し驚きだ……そんな事を思っていると


「…………従業員用の昇降口がある」


「え……?」


 今なんて言った?


「……わたしはあんたと違って、この工場の主から渡された施設のデータが頭に入ってる。それによれば、この施設は昔人間も使用していた記録がある。本来あまり立ち入りはしないのだけど、この地下に人間が出入りした形跡もあって、その際の昇降口として使用されていた場所がある」


「でも、そんな場所」


「暗くて分かりづらいと思うけど、量産品の山はなにも適当に捨てられているわけじゃない。きっとどこかに空白地帯があるはず。壁伝いに探していけば、いつかは見つかる。それとあなたはさっき時間がないって言ったけど、たぶんまだ大丈夫。少なくともここを脱出する時間ぐらいはあると思う」


「……こっちとしてはありがたいけど、随分とあっさり吐いたね」


「……別に。もう、諦めただけ。わたしは戦闘でも、そして精神的にもあなたには勝てないことが分かった。確かにあなたの言う通りせっかくわたしらしく生きようと思ってこの勝負を仕掛けたのに、それを自分で台無しにするのも馬鹿みたいだなと思った。だから、もういいの」


「そう……経緯はどうあれ感謝する」


「礼とか気持ち悪いからいらない。代わりに約束しなさい。……シキは必ず守るって」


「いや、それはあんたに言われるまでもないけれど……てかシキはあんたのじゃないし」


「うっさい。今、上で何が起きてるか分かってる?たぶんシキは今までになく危険な状況にある。あの得体の知れないおっさんだけじゃなくて、この施設にはハルがいる」


「ハル……?」


「簡潔に説明するとこの工場を管理しているAI、シキを狙ってんの」


「あらら、AIとはあの子モテモテね」


「感心してる場合じゃない!!……あいつに捕まったら何されるかわかんないんだから」


「……ま、そうね。あんまり長い時間シキと離れるのも私の精神衛生上よろしくないし、そろそろこの地下空間からお暇しますかね……でもその前に」


「……?え、何?……ねぇ、なんでこっちに顔近づけてくるの?足を退けてくれたのはいいけれど、なんで今度はわたしの左腕ガン見してんの?怖いんだけど!?」


「よこせ♡」


「……は?」


「だぁから……その左腕よこせって言ってんの」


「え……は?……え、ちょっと待ってあなた正気?もしかして……そういう趣味をお持ちなの????」


「なーに考えてんのよこの脳内ショッキングピンクレプリカは。……いやね、足りないのよ、このままだと私の戦力」


 そう、圧倒的に戦力が不足している。

 決闘の開始前も確認したが、今の私のスペックは余りにもしょぼすぎる。いかんせんこのまま上に戻るのは戦力的に不安で仕方ない。

 先の話によれば、恐らくこれから私が相手をしなければならない敵はこの工場のボスであるという……それは実質、この工場自体と戦わなければならないということだ。そんな相手に対して私が持ってる装備は欠けた刃物と伸びるだけの腕……果たしてこれだけで打倒できる相手なのだろうか?

 いや無理だろ、と私は思う。

 1000年間の何もないある意味平和な日々であればこの辺のテキトーな装備でも何とかなっていただろう。しかしこれから行うのは戦闘というより、もはや戦争と呼べるものだ。であればここから先の戦いを生き延びるために、ここで一旦私自身の戦力をアップデートしなければならないだろう。

 私の右手にはさっきキャッチしたチェーンソー、そして目の前には無限?に砲撃が放てる左腕、足元には私を構成する無数のパーツが転がっている。

 進化をするにはこのタイミングを置いて他にない。


「まさか……あなた……で、でもそんなこと素人あなたにできるの!?」


「倫理的には余裕。技術的には……まぁ、何とかなるよ。


 私はレプリカの前に『それ』を掲げる。

 まぁこれがあれば技術面は何とかクリアできるし、構成される予定のパーツは全て私の規格と合っているはずだから、それらをどこまで整備できるかはともかく、やってやれないことはない。

 だって私1000年以上生きてるからね。


「私はあんたに謝罪もしないし、感謝もしない。ここから助けることもないし、あんたの境遇に同情もしない」


「……急に何?最後まで喧嘩売るつもり?」


「でも生まれた意味は与えてあげる。私と同じ顔で生まれたやつが、無意味に生きて、無価値に死ぬ……なんてことは許さない。あんたのチェーンソーでそのハルとかいうやつぶった斬って、地獄に突き落としてあげる。今から言うことを死ぬまで覚えてなさい。。あんたの人生は、決して無意味なんかじゃなかった」


「……はっ……なに……それ……いみわかんなぃ……」


「……そ……まーいーけど、じゃあ始めるから」


 詭弁だったかもしれない。

 でも、構わなかった。それでたとえ少しでも彼女が報われるのならば。


 私は彼女の左腕を外す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る