第3話 “きっかけ”を探していたんだ
さぁ……等々、高校受験スタート……だっ!(´;ω;`)
俺は焦りながらも頑張って気合を入れ、高校受験という大舞台に意識の全てを集中させた。
それぐらいの気迫と覚悟を持たなければ今起こったトラブルと不安、そして緊張に精神が耐えられなかったからだ。
──そのため、“茉白の可愛すぎる見た目で固まる受験生達”に俺は気付けなかった。
誰もが人目見ただけで目を奪われる圧倒的な『美』。
……まるで2次元から出てきたとも思わせるその圧倒的な可愛さ。
それが生きて歩いている…… 目の前にいる……
それだけで──
「俺はあの子と同じ高校に通うんだ!絶対に受かってみせる!」
「うぉぉぉー、ぜってぇ負けねぇぞー」
「私は……負けない、そして受かるわ!」
その場に居たほとんどの受験生達の目の色を一瞬にして変えたということに。
☆☆☆
俺は少し校舎内で道に迷いつつも、指定された教室に辿り着ついた。教室の中にしれっと入ると、まだ教室の受験生達はまばらだったが、俺が教室に入った瞬間、空気が少しザワついたような気がした。
気の所為かもしれないが……それでも、視線が向けられているような違和感は感じられたのだ。まぁ、気にする余裕は今の俺には無い。そもそもコミュ障が直っていない俺に突然話し掛けられても困るのだ。
さてと。(_´ω`)_
ようやく、一息を着いた俺は椅子の背もたれにゆっくりと身を任せ、気分を落ち着かせる。
後もう少しで
既に緊張はピークを迎え、全身からの冷や汗と謎の震えが止まらなくなって来ていた。
受かりたいという強い気持ちはもちろんある。だけど、引きこもりという長い時間で築かれてしまったメンタルの弱さが今露骨に出てきてしまっていた。
でも、俺は……受かるんだ。こんな俺でも努力すれば何とかなるって証明したいんだ。
『無理だよ、やっぱり』
『そうそう。無駄な努力をしただけだよ』
『どうせ受からないよ』
違う。俺は努力したんだ、そして自信も付いた。
『…………っ』
──これまでの辛い日々の“全て”を俺はまるで1つの物語のように思い出す。
最初はあんなにも、引きこもりで陰キャでコミュ障で……最悪だった。肉体的にも精神的にもあの時が1番”終わっていた”とさえ思える。
だけど、神様(自称)の勘違いで女になり……俺は変わった。いや、変われたんだ。
多分……俺が女になったってのはただの“きっかけ”に過ぎないだろう。だって、俺自身が元々変わりたいって願って……その末の変化なんだから。
俺はただずっと“きっかけ”を探していたんだ。
『──じゃあ、期待に答えなきゃな?』
そう……だね。ありがとう。
いつの間にか俺の緊張や震えは収まり……強いやる気に満ち溢れていた。
( • ̀ω•́ )
そして、高校受験はスタートした。
☆☆☆
高校受験。
筆記……国・数・社・理・英の五教科。
範囲 中学校で習った全て。
「くっ、」
難しかった。でも、全体的の半分くらいは自信を持って解けたと思う。毎年の合格点数はテストの半分以上からが最低ライン。
つまり、ギリギリセーフかアウトの具合だろう。
でも、あんなにもダメダメだった俺がここまで進歩し、健闘することできた。それだけで俺は多大な幸福感と満足感を得られていた。
次は、面接。
試験管と話すなんてコミュ障の俺には到底不可能なことだろう。だけど、前々から練習は沢山していたし、今日の俺だったら何とかなるだろう……とさえ思えていた。
結果は、途中途中で口ごもったりする事があったが、聞かれたことになるべく素早く的確に話せたと思う。
試験管に俺がどう写るのかは分からないが、途中から雑談のように明るい雰囲気になったことから多分大丈夫なのかなぁ……と思う。
俺の全ては今日、出し切った。後はまぁ、なるようになれってやつだ。
だから俺は久しぶりに……ゆっくり寝ることにするよ。
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