第6話 (´>∀<`)ゝっと、不器用なりに笑みを送ってみた
なんやかんや色々あって、俺のこれまでの“変化”を全て“母”が責任を持って話をした。
俺が家族にしたように、全てを。神様の勘違いだと言うことも全て洗いざらいだ。
まぁ、到底信じられない不可思議な話だ。幼なじみの2人の蒼太と愛葉は様々な感情がごちゃ混ぜになり、戸惑いながらも真剣に聞いているようだった。
家族なら……家族だから信じてくれると思い俺は話したけど、ほとんど交流のない幼なじみだと話は違う。多分今の俺は頭のおかしいただのロリっ子に成り下がってしまうことだろう。
──だから話したく無かったのに。暴露するつもりは無かったのに。
じーっ(¬_¬)と母を強く睨みつつ、俺はなるべく幼なじみの顔を見なかった。
だって、ずっと、鋭い視線を向けられているのだから。幼なじみが俺のことをどう思ってるかはさっき聞いたから何となく分かるけど、その視線はコミュ障の俺にとってはただただシンドい視線だというのには変わりはない。
──でも、俺は知らない。幼なじみの2人の視線に籠る熱い”想い”を“願い”を。
「えぇっと。話を区切って申し訳ありませんが、話を簡潔にすると……こ、この子が、一宮 白くん。私の幼なじみで間違いないんですか?」
「そ、そ、そ、そうだぜ!この子が俺の幼なじみなんて絶対に無いぜ!だって、性別が真逆なんだぞ!?違うに決まってる!」
徐々に信じ始める愛葉。それに比べ、まだ信じられない蒼太。まぁ、しょうがない。だって、俺は幼なじみのことをよく知らないし、前の俺の特徴を幼なじみに話したって分からないだろうし。
つまり、俺が白だと証明出来る方法が無いのだ。
でも……蒼太と愛葉には、信じて欲しい。
幼なじみだから。不干渉だったけども、実はすごい2人ってのは知ってたんだぜ。
だから、だから、だからッ!
「──俺が白なんだ。信じて、望月くん。東雲さん」
「「……っっ!?」」
コミュ障モードを発動させないように我慢しながら、俺はなるべく男の口調で普通に話した。見た目は女の子なのに、口調は男というギャップに近くで見ていた姉は「尊い」と言って血を吐いて倒れてたし、母はニヤニヤし、いつ間にか居た父は笑い転げていた。
その家族の愉快な反応と俺の真剣な目を見てか……
「え、本当に、本当に白なの?」
「いやいや、マジかよ……」
流石に2人も状況の理解が完了したらしい。
そして……自分たちが仕出かした失態に気付き始め、顔を赤面させた。どうやら気付いたようだ。俺についての相談事を本人の俺にしてしまい、本音を言ってしまったのだから。
「その……うん。ごめんね。でも、ありがとう。大切に思ってくれていて。嬉しかったよ」
(´>∀<`)ゝっと、不器用なりに笑みを送ると。
「「う、うわぁぁぁぁーっっ!?!?」」
どうやら2人は恥ずかしさのあまり叫んでしまったようだ。
☆☆☆
……久しぶりの幼なじみとの会話は意外と静かに行われていた。
家族は気を利かせて部屋から出て行ってくれたけど、俺にとっては逆に不安なんだが?
せめて、母……はダメだな。じゃあ、父……もイヤだな。姉……うん。論外だ。よぉーし、1人で頑張ろう!
“コミュ障、陰キャ、ぼっち”の3要素が揃った俺は、このうちのどれかをすぐにでも解決しなければいつまで経っても前に進めないのだ。
さっきまでは蒼太と愛葉から最近の中学校であった面白いエピーソードのことや、難しい授業のこと、クラスの人の恋愛事情など、中学生らしい甘々な青春を聞いていた。
羨ましいな。だって、俺が絶対に送ることの出来ない“青春”というものなのだから。手が出るほど渇望するものなのだから。
そうして、数十分程聞き手に回った俺だったが、
「──あはは、じゃあ、コッチの話は終わりね。今度は白の話を聞かせてよ」
切り替えが妙に早いような気もするが、愛葉から話を振られた。俺も積極的に話さないと行けない訳だから、まぁいいだろう。
「え……っと、──って!」
なんだよ、2人のその真剣な眼差しは。
それに……それぞれスマホをしれっと取り出し、録音機能をONにしていた。俺の話をわざわざ録音してどうするつもりなのだろうか?
別にこれから面白い話をする訳じゃないし、2人にとって有意義な話にもならないだろう。
うーむ。あ!そうか。これが陽キャなりの聞き方というものなのか!最近のパリピって、すごい進んでるんだな。
……なんて、特に俺は警戒もせず、注意もせず。上手い具合にそう解釈してしまった。
蒼太も愛葉も中々にやばい行動をしているというのに、無知の俺は別に気にならなかった。そして、このデータはろくな事に使われない……というのに。
なんて、今の俺は頭が回らずに、「ゲームとか、色々やってたんだよねー」と、クソつまらない無難な言葉をただただ並べてしまうのであった。
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