第7話 家族限定の特別パスポート


 ようやく、この銀髪美少女は俺であると言うことが出来た。


 ホッと一安心の俺だが……この発言は家族の3人にはどのように感じられただろうか?


 俺は数秒が経った後で、3人の顔を恐る恐る覗いてみる。すると……3人とも驚愕Σ(゚ロ゚;)の表情で俺のことを見つめていた。


「あはは、面白いジョークを言うね、琥珀ちゃん?」

「そ、そ、そうね、それによく家族の……白の名前を知っていたわね!?」


 父、母はほぼほぼ同時に苦笑いを浮かべる。多分、最新の情報に着いて行けずにプチパニック状態のようだ。

 姉は…………うん、かなりの放心状態のようだから今は放っておこう。




「し、知ってるも何も……本人、だから。それに──」


 俺は今ならコミュ障が大人しそうだったので、神様(自称)の勘違いからこの物語は始まったのだと、きちんと説明した。ついでに、家族しか知り得ない情報を次々に出したことで俺が本当に俺であるという証明もできたと思う。


 ☆☆☆


「──ど、どう?俺が白だって…………家族だって信じてくれた?」


 オドオドと順調にコミュ障を発動しながら俺は聞いた。信じてくれるって……もちろん信じてるけど、多少の不安はしょうがない。



 すると、父は笑いながら俺へと近付いてくる。


「アハハ、お前が白なのか?見た目変わりすぎだろ(◍¯∀¯◍)!」

「ちょ、アナタ!そんなこと言わないで下さい!白だって女の子になりたくてなった訳じゃないんですよ!(¯∇¯;)」


 俺の不安を意図も簡単に吹き飛ばし、家族は俺のことを信じてくれたみたいだ。こんな嘘で現実味の無い話なんかに。本当に、ありがたい。





「──でも、話すのは久しぶりだね、白」


 少しの涙を滲ませながら、母は嬉しそうに言う。父も腕組みをしながら見守り、心から嬉しそうだ。


「……っ、うん」

「お母さん、白と話せるだけで嬉しい」

「おーっと、父も母さんに激しく同意だぞーい!」


 まったく……ラブラブ夫婦だな。なんて思いながら、嬉しさと申し訳なさで、今までずっと締め付けられていた俺の心を我慢せずに解き放った。


「ごめん、母さん、父さん。ずっとずっと、部屋に引きこもって……姉ちゃんみたく立派になれなくて、才能が無くて、家族の皆に迷惑ばっかり掛けちゃって」


 多分、母の涙につられたのだろう。俺も大粒の涙を流しながら話す。可愛らしい顔がぐちゃぐちゃになってても構わない、女の子だからって関係ない、ただただ今は一宮 白という1人の男として声を大にして泣いた。


「でも、ありがとうっ……信じていてくれて。見捨てないでくれて。見守っていてくれて」

「いいのよ、別に」


 母は俺の頭を優しく撫で、父は包容力のある胸板を貸してくれた。


「白も私たちみたいに輝けなくたっていい」


「え?」


「そうだ、気負わなくたっていい。お前の人生なんだからな。父さんたち如きの経歴なんて気にすんな!」

「そうね、どうせ、大したことは無いから。他にすごい人なんてこの世界には大勢いるんだから!」


 ったく、充分過ぎるほど凄いんだよ。それにスケールがデカいんだよ。( ´・֊・` )‬

 でも、その憧れの家族からそう言われると……無性に力を湧き出させてくれる。頑張ろうという活力を得られる。


「こりゃあ、神様に願った通り変われたんじゃないか?」

「あはは……かもね」


 久しぶりのまともな会話で、途中からコミュ障が発動されなかった。多分、心の隔たりが無くなり、家族限定の特別パスポートが俺の中で発券されたからだろう。


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