第15話
「なんで、あんなこと言われなきゃ行けないんだよ」
無事、女性を助けた俺はアカネと共に家に帰宅していた。ドカっと椅子に座った俺は帰り際に放った
「馬鹿に付ける薬はないと言うが、君には現実を突き付けた方がいいだろう。三日後。もう一度、この場所に来ると良い。私が本気で君を倒そう」
現実が分かってないなんて――俺は思わない。
困ってる人を見捨てるのが現実だというのだろうか? 不満げな俺の隣にアカネが座った。彼女の手には数冊の絵本が抱えられていた。
「まあ、50年前がどうだったか知らないけど、悪いけど私も
「そんな……! そんなに人助けが駄目なんですか?」
「……人助け云々の前に、銀の
「……」
「そこまで考えてなかったって顔ね」
俺は確かにそこまで考えていなかった。目の前の人を助けたい一心だけだった。
「それが
「戦争って、そんな大げさな」
「それが大げさじゃないのよ。過去にも一度、似たようなことが青の
「……そ、そうなんですか」
「だから、基本的には他の
「それが――人攫いでもですか」
「そう。ま、やっちゃたことは仕方がないわ。大人しくどうなるのか待ちましょ。」
アカネは肩を竦めて自分の部屋へ消えていった。
◇
それから三日が経過した。
戦争が起こるかもしれないなどとアカネは言っていたが、特に銀の
「と、なれば俺が考えるべきは
本気で戦うと宣言された日が今日だ。
俺もこの日のために三日間、こつこつ時間を貯蓄していた。その成果もあって、俺の視界には、
10:00:00
と、数字が浮かんでいる。
十時間。
加速を使えば十分間。
時間を五時間戻せる。
「これだけあれば、充分だろう」
と、自分に言い聞かせて見たものの、果たして何が充分なのかが未だに分からないのだけど。
「思えば、【魔能力】を持つ相手と戦うのはこれが初めてか」
冷静になるほど、イムさんが出した条件の意味が分かってきた。感謝しなきゃならないな。今度、お菓子でも持ってお礼に行くかと考えながら歩く。
目指す先は勿論、
「待ってたよ」
店内に入ると、
パタンと閉じて脇に抱える。
「じゃあ、早速、戦おうか」
その瞬間。
俺は見えない力に吹き飛ばされた。店の外へ転がりながら出た俺を追うように、ゆっくりと
……何をされたんだ?
俺と同じく時を速めて移動したのか?
「くそ、何にせよいきなりかよ。だったら、俺もやってやんよ!」
相手が同じ能力かどうかは、時を加速させれば分かる。
俺は立ち上がると同時に【魔能力】を発動し、店の前に立つ
俺の拳が頬を捉えた。
だが、
「がっ!!」
痛みに吠えたのは俺だった。拳の骨が砕けたかのように痛む。まるで、鉄でも殴ったかのような感触だ。
あまりの痛みに時の加速を緩め、膝を付く。
「やっぱり……そうか」
呟くと同時に再び見えない力が俺を襲う。
ゴロゴロと地面を転がる。
「くそ、何が起きたんだ?」
「それは私に聞いているのかな? だとしたら、馬鹿にされたモノだな。私は自分の力を話すほど愚かではないし、無暗に力を見せたりもしない。君みたいにね!」
「……っ!!」
まさか、三日前に俺が力を使ったから、【魔能力】がバレたのか?
加速すれば相手は何もできないとタカを括っていた俺を、見下すように
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