憧れ
OBAR
第1話 冷めた子供
思えば私は冷めた子供だった。
テレビのヒーロー物はよく見ていたが周囲の友達と話を合わせる為だったし、周りの友達が持っていたヒーローグッズを欲しいとも思わなかった。
遠足で遊園地に行ったときに[○○○○戦隊と握手しよう!]などのイベントで周りの子供達は興奮し群がって握手を求めていたが、私はこっそりと演者さんの後ろに回りヒーロースーツのチャックを下ろして慌てる様子を見て楽しむような子供であった。
ある時、庭で遊んでいたときに隣の家から物凄い爆音が響いてきて驚きつつも(何の音だろうか?)と見に行くと、そこには黒いフルフェイスヘルメットにマットブラックのライダースーツを着たお兄さんが居た。
私よりもひと回りほど年嵩のこの人は外国製で朱色と緑のツートンカラーが印象的な大型バイクに乗っていた。
腹の底まで響いてくる重低音のエンジン音は、まだ小さかった私には畏怖にも似た驚きを与えた。
その唸りを上げるモンスターマシンに跨がり、あっという間に彼方に走り去る黒いライダースーツの彼に私は強い憧れを抱いた。
私にとって彼こそが強さの象徴[ヒーロー]だったのだろう。
憧れ OBAR @aikotoba-ailand1020304
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます