第4話 まぁくん登場!! 父、どうする!?

「は、はじめまして。大谷おおたに 将大まさひろと言います」


 ぎこちないしぐさでお辞儀したまぁくんは、今日のために選んだ新しいスーツがよく似合っている。さすがは元野球部だけあって、体格がいい。そして性格は温厚。浮気もしないし、あたしと同じ年。もー、パーフェクト彼氏じゃんっ!!


「いらっしゃい。その辺にでもかけてくれたまえ」


 あれ? お父さん、なんか変。毎年恒例のカクヨムコンも終わったばっかりなのに、気もそぞろなのはどうして?


「お父さん、どうかした?」


 てっきり娘はやらんっ!! とかいう展開を予想していただけに、ちょっと肩すかしをくらった気分。


「愛、おまえもカクヨムユーザーならば、そろそろ覚悟しなければならない時期であろう?」

「覚悟って? まだカクヨムコンの中間発表は先なんじゃないの?」


 だが、あたしはすっかり忘れていた。今は二月下旬。三月といえば、アレがあるじゃないかっ!!


「あーっ!! もしかしてお父さん、もうKACの準備してるのぉ!?」

「あたりまえではないかっ。運営様の告知の結果、今年はお題が十一個も出るという(※こちらは2022年度のKACを参考にしております)。心してかからなければ、皆勤賞は達成できんっ!!」

「お父さん、いくらリワードかかってるからって、がめつい……」


 あたしがドン引きしていると、まぁくんがふいに立ち上がった。その目はキラキラと光り輝いているではないか。


「お父さんっ!! 実はおれも、カクヨムユーザーなんですっ!!」


 なんだってぇー!? こんなところでカミングアウト!!


「お父さんのKACにかける意気込み、しかと受け止めました。去年はなんだかんだと忙しく、皆勤賞を取れませんでしたが、今年はおれも皆勤賞目指してがんばりますっ!!」

「いい目だ、大谷くん。いや、あえてまぁくんと呼ばせてもらうぞっ!! 互いに皆勤賞目指してがんばろうっ!! そしてあわよくば大賞を目指すのだっ!!」


 熱い思いを吐露したお父さんとまぁくんは互いに立ち上がり、手に手を取って励ましあっている。


 無理だ。あたしには皆勤賞は無理だ。だって三月はいそがしいのだもんっ!!


 つづく


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