第3話 ムスメ・ロイヤリティ――愛の野望
ロイヤリティなんてペンネームをつけたのは理由がある。素直に、お小遣いをかせぐつもりだった。が、そのことがお父さんにバレてしまい、大ゲンカに発展。
あたしっていっつもお父さんとケンカばっかりしてるな。
ひと騒動終えて、お母さんとサヤエンドウの下ごしらえをしながらひたすらグチを言った。
「だいたいお父さん、あたしの作品に一個も星入れてくれないんだよ? 信じられない」
「えー? だってぇー、パパ・ゴードンがお父さんだってわかっちゃったら、身内に星をばらまくようなものじゃないの? あたしはそういうの詳しくないけど? どうなのかしら、その辺」
「運営さんに知れたらバンされちゃうのかな? だったら、星いらないや」
最初はお小遣いをかせぐつもりで始めたカクヨムだけど。いろんなユーザーさんからコメントをもらえたり、リアクションを返してくれるようになったらたのしくて。もう、カクヨムのない生活なんて、想像もできなかった。
「ねぇ、お母さんだったらカクヨムになにを書く? 一応、文学部だったんでしょう?」
「そうねぇー? エッセイかしら?」
あっははと笑うお母さん。この笑顔にいつも救われているんだよな。だいたい、お母さんがカクヨムでエッセイを書く姿なんて、想像できないし。
「ねぇ、愛ちゃん。今度噂の彼氏くんに会わせてくれない? お父さんにもちゃんと紹介した方がいいと思うの」
うっふふっといたずらっぽく笑うお母さん。そうだよなぁ、高校生の時、初めて彼氏ができた時は、お父さんに猛反対されたっけ。あれから数年。お父さんもそろそろ肝が座ってるといいんだけど。
「いいけど。またキレられたら困るからなぁ」
「だからぁ、その前にちゃんと紹介した方がいいのよぉー」
「そうかなぁー?」
そうしてお母さんもまだ知らない秘密がある。彼氏のまぁくんも、実はカクヨムユーザーなんだよね。
つづく
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