第52話 前途洋洋 ぜんとようよう

前途洋洋 ぜんとようよう

今後の人生が大きく開けていて、希望に満ちあふれているさま



 かの国ではパレードが行われていた。

“花のイブキ組” と、勇者クラン “栄光の導き” が最上位のダンジョンを攻略したお祝いだ。きれいに飾られた魔動車が埋め尽くされた国民の間をゆっくり進む。


“キャー、シャルロット様よ!”  “兄貴!お帰りなすって!”

“アイリーン様、シンシア様、こっち向いてー”  兄貴、よくぞご無事で!“

”フレイヤちゃん、エリザベスちゃん素敵!“  ”お待ちしておりやした!”

“アリス様、ソーニャ様、メイ様、レイチェル様、みんなお揃いよ!“


国民から花が投げられる。街中花で彩られている。


『姉さん、あっしゃ、あっしゃ、やりやしたぜ!見ておくんなせえ!貴賤問わず、中央の奴も、郊外のやつも、みんな笑顔ですぜ!イブキ姉さん!!』


 この二つのクランはトリプルSのさらに上、フォースSクランとして伝説のクランとなった。

 街道では学生たちも一緒に花を送っていた。


『ねえ、アンリ』


『イブキって、あのイブキさんじゃないよね』


『お兄さんが冒険者の?最初だけで直ぐに転校されたイブキさん?』


『ないない!お体よろしくなかったイブキさん、ないない!なんか、すごい強い女冒険者って話だよ』





『新入学の皆さん、在校生の皆さん、新しい校長先生、サモンジ校長からのご挨拶です』


 暫くギルド長が兼務していた冒険者学校の校長も、ようやく専任の校長が赴任した。今日は新入生の入学式も重なり、全校生徒への挨拶となった。


 ”ずいっ” とサモンジが高台に立つ。良く通るしわがれ声で始めた。


『新入生の皆さん、在校生の皆さん。サモンジと申します。命がけの冒険者を目指す皆さんに私からメッセージがございます』



いいか、てめーら!!


てめえらの金玉に誓え!


金玉ねえ奴はお前のもっとも大事な何かに誓え!


つまらん生きざまを見せんじゃねえぞ!


下見るな!  上を見ろ!


常識を覆せ!  生きざまを飾れ!


お前ら自分を誇れ!  誰が見てなくとも!


お前らの生きざまは! このワシが見ててやる!


誰かにではない! このワシに対してカッコつけろ!


金玉にイブキの名を刻め!




サムライは異世界に行った 完

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る