第40話 改過自新 かいかじしん

改過自新 かいかじしん

自分の過ちを改めて、新たに再出発すること。過ちを改めて心を入れかえること


『ゲンジ、イブキちゃんは大丈夫なのか』


『ああ、大丈夫だ。直ぐに戻ってくるしカグラもいる』


 イブキは病院に入り三日目だ。昨日の夜、俺が先に目が覚めた。ユキは俺のベットに伏せて眠っていた。おれが目覚めたことに気づき、泣きながら抱き着かれた。

 気分が落ち着いたユキは、タラスコンの擬態が見抜けなかったこと、暴走ダンジョン攻略を急ぎすぎたことを謝ってきたが、これは俺たちの貴重な経験だ。なんの問題もない。俺たちは生きている。

 更にこの経験でまた成長できる。また強くなれる。穴の向こうに見えたドラゴンは第二領域の魔物で、俺たちに一撃を食らわした後、興味を失ったのか飛び去っていったこと、イブキも俺と同じ状態で今は眠っているが、手足もくっつき、外傷はほぼ治っていることを教えてくれた。

 イブキと俺は多分白狐のスキル“スミレ”で回復し、その中でイブキと会っていたことは言わなかった。

 格納庫を見る。壱号機、弐号機ともに見た目大きな外傷はなないが、ジンが言うには表面の魔動回路や回復システムが修繕できないほどの大きなダメージを受けているらしい。ジンはオリハルコンで機体を作り直すことを提案してきた。

 二機分のオリハルコンは十分溜まっているらしい。ユキもそれに賛成したので、俺に依存はない。イブキやカグラもそうだろう。


『イブキちゃんが目を覚ましました・・・・。しばらく二人にしておくのが良さそうです』


『・・・・・』


 ジンからの連絡を待ちながら、しばらく俺たちは小屋で休んだ。目の前の海にはサンゴや綺麗な色の魚たちがいた。ユキと手を繋いで泳いだり、水上を飛んだり、そうだ生身でもマリオネットの感覚で飛べた。イブキは他の小屋にカグラと出向き、他のクランの輪に入って遊んでいた。

 ジンから連絡が来た。


『機体の生産方法は前と同じだ。お前たちの魔力でオリハルコンを液状化させ、更に思念を溶かし、成形する。底知れないお前達に見合うリミットない魔動回路を溶かす。特殊なお前らの機体の隅々まで行き渡るよう更に特別に開発した回路だ』


 プールの中で俺たちは向かい座禅を組み手を繋ぎ合う。二人とも裸だ。もう恥ずかしさもないことはないが精神を統一する。ユキは真っすぐ俺をみている。俺もユキを見る。意識が繋がった。




 私は成型される新壱号機を感じとる。カグラと二人で兄さん、姉さんの子供といっていい新壱号機に集中する。カグラが言うには壱号機はいろいろ “ありえない” だ。通常液体がそのまま成型体を作るのに対し、壱号機は無数の糸が織り合い成型された。

 新壱号機も同じように成型されていく。糸は更に強く細くなっていると感じる。カグラが言うには壱号機、弐号機ともにドラゴンの黒いブレスでバラバラになっても最後までいくつかの糸が繋がり、黒いブレスの威力を糸に分散し受け止め、消滅せず残ったそうだ。

 壱号機にこれからも付いて行くため、兄さん、姉さんのやっていることをカグラと共に逃さず掴み、良き手本とし、同じように弐号機を創る。



 終わった。俺はユキを膝に乗せ正面から抱きしめていた。ユキも目を開けて俺を見る。更に強く抱きついてきた。俺は何回目なのか、ユキの中で果てた。


『マテ!カグラ待て!』


私はオリハルコンのプールの中、裸でカグラを追いかける。


『兄さん、姉さんが新壱号機をご生産になられる際、契りを結ばせられたことはカグラも感じただろうが!カグラ、私と契るんだ!』


『ぼ、僕はイブキが好きだよ。けど順序や順番があるんだよ』


思考を飛ばしてくる。


『ないわい!今じゃ今、さあ契るぞ、今すぐ眠りに入る前に契るぞ!新弐号機を生み出すぞ!』


『角と角の間が、プールの中なのにバチバチしてるよ』


『や、イブキ、いっ、いやー』


 私はカグラを捕まえ、組み伏せ、座禅を作らせ、その上から抱きしめ、重なった。その状態で瞑想に入る。


 終わった。私たちの新弐号機には尻尾と共に、角が二本生えていた。

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