第20話 博学審問 はくがくしんもん
博学審問 はくがくしんもん
幅広く学び、深く詳しく問いただすこと
イブキが学校に通い始め、俺はダンジョン攻略を再開した。今日から第三階層だ。
『おはようございます。第三階層は第一、第二階層の魔物とミノタウルス、トロールです。ミノタウルス、トロールは群れを組みません。群れはオーガの上位種が率いている場合が多いです。オーガ上位種はオーガ同様魔法も使ってきます。遠距離からの魔法に気を付けてください。個対個、個対集団、両方の対応力が必要です。第三階層のオーガは多種の魔法を使ってきます』
いつものようにユキの指示に従い、風魔法の応用である空間魔法で魔物の位置を探索しながら核エリアに移動する。
ミノタウルスが探知できた場合のみ首を落としていく。今のところ白角のみだ。
最初の核ポイントについた。一応陣が張られている。ユキによると第三階層からの陣は強さの大小あるが魔法に対するレジストが付いている。
200mの距離からイブキにならって長弓を取り出しリーダーらしきオーガに放っていく。半分が切り落とされるか避けられるかした。長距離戦は俺には火弾の方がいいようだ。
門が開き、ゴブリンとオークの混成隊が出てくる。砂塵と火弾で数に対抗する。砂塵でゴブリンは瞬殺できる。これでも倒れない魔物に鉄火弾を撃って倒していく。
部隊が次々に倒されるのを見てオーガ騎馬隊が出てきた。砂塵はオーガの付近では制御不能になる。鉄火弾もレジストされるが鉄弾の状態でダメージを与えている。足を止めるため馬に集中的に当てていく。
とっさに作られた土壁を鉄弾が突き抜け、そのあとを投擲した槍が馬を潰す。機動力を失ったオーガは火、氷の槍を撃ってくるが、俺の動きについてこれない。砂塵で視界を奪い、薙刀で首を落としていく。
残っている魔物を倒した後、陣を作っている木材、巨大な石組みを回収していく。
高台奥の屋敷から装備のよいオーガが出てきた。倒した冒険者の装備をつけているのであろう。
2本角で角の間に稲妻が走った。瞬移で移動した。俺の位置は捉えられていないが、土魔法の俺のダミーが吹っ飛んだ。
オーガは全身バチバチ光っており雷を纏っているようだ。金属系武具はダメだ。鉄火弾を放つも稲妻に撃ち落される。砂塵も奴に近づくと稲妻で全て落とされる。奴の立つ地面も加工できない。
俺は高速移動とダミーで攪乱するがヤツの稲妻による手数が俺の対策に追いついてくる。
俺は雷の間合いの外から上空に跳び上空から回収している石組みの石を出し投げ落とす。稲妻で真っ二つに割れるが、次の石を既に投げている。巨大な石が次々に降りかかり、ヤツの逃げ場はない。粉塵が巻き上がる。俺は石を回収しながら近づく。
『討伐です』
ユキの連絡で倒せたことが確認できた。屋敷の中に入るがもう魔物はいないようだ。
倉庫らしき部屋からアイテムを回収し、屋敷と繋がる洞窟奥の祭壇をイブキを真似て蹴り壊す。でかい核を回収した。次だ。
移動中にトロールを発見する。単体なので狩ることにする。
『トロールはオークより弾力あり、オーガより強靭な皮膚で覆われています。魔法は空間魔法持ちです。火魔法、近接の斬撃が効きますが、矢や魔法などの遠距離物理攻撃は空間魔法で吸い込みます。また正面に周ると回収したものを逆に吐きだす広域攻撃が来ます。上位は回復魔法を持っていますので、回復を上回る火力が必要になります。このトロールは上位ではないので火弾で押せば大丈夫です。最も注意しなければならないのは、トロールが死に際に悲鳴をあげ、その悲鳴で他のトロールを呼び込むことです。単に殺せばいいのではなく、如何に声をあげさせずに倒すかです。声帯は人間と同じなので、首への集中攻撃がおすすめです』
「了解」
呼吸を整え接敵した。砂塵での目くらましと奴の正面にダミーを置き、俺は背後から火弾を首に撃ち続けた。首が吹き飛ぶのを目視した。悲鳴は上がらなかったと思う。
『討伐です』
次の核エリアに移動中に複数の戦闘を察知した。3体のトロールと6名の冒険者チームの戦闘だ。冒険者チームが押され、退却中のようだ。
その戦闘に近づくが、冒険者達は施設のサロンで見たことがある。女性冒険者はイブキを可愛がってくれていた一人だ。
移動速度を上げ、1体のトロールの背後を取る。火弾を連続して首に打ち込み首を落とした。次のトロールに火弾を撃ち込むが振り返っている。トロールに向かう火弾はその口に吸い込まれていく。
瞬移で背後に位置をとり薙刀で首を飛ばす。3体目は既に気づいている。俺目掛け口から何かを吐き出した。上空に避けたが、弓や槍、魔法までが吐き出され、俺がいた一帯が破壊されていく。
目で上空の俺を追えたようで、今度は上空に向けて吐き出した。そこに置いていたダミーが砕けるが、おれは既に奴の背後を取っている。火弾を首に撃つ。吐き出しながら回収はできないようで、首が吹き飛ぶ。
『まだです』
地面に着地した俺は冒険者達の方に意識を向けていた。視界の端のトロールは消えていない。トロールに目を向けた時、切断した首からヌっと頭が生え、吐き出し攻撃が来た。俺の背後には冒険者達がいる。
砂塵を渦状に回し、鎖分銅の振り回しで吐き出されるものを撃ち落していく。数秒膠着したが、そのあとは砂塵と鉄火弾を加え押していく、奴の呼吸が吸い込みに入ると俺は国行を抜き放ち、飛斬の間合いから奴の体を滅多切りにする。
幾激かで心臓の魔石を切った手ごたえがあったが、そのまま残っている肉を細切れにしていく。
『討伐を確認しました』
ふう、油断したな。
「油断だった」
『生き残っている限り失敗も成長の糧にできます。今回は凌げましたが他者の命とご自身の命の天秤について考えてくださいね』
痛いとこを突かれた。その通りだ。
「気を付ける」
唖然とこちらを見ている冒険者達は俺に過分な礼を述べた。周囲を警戒しながら負傷した冒険者に回復薬を施していた。このまま引き上げるとのことなので、その護衛を買って出る。
『それはありがたいが、お前ほどの冒険者に対する護衛料は出せないぞ』
「救援が間に合ったのに帰りにやられてたってことになれば、俺自身堪えるんだ。何も請求しない」
『ありがたい!お前はイブキちゃんの兄貴だよな』
「そうだ。またイブキに旨いモノを食わせてくれ」
『それでは釣り合わないが、わかった』
帰還時に騒ぎを察知した魔物の隊、ミノタウルス単体が襲ってきたが、冒険者達を先に行かせ討伐していった。
第三階層の出口まで見送った後、再会の約束をさせられ分かれた。核エリアまで行くのはもう遅いので、新たなスキルの鍛錬を行うことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます