第5話 思い

そこからは覚えていない。

変な男に「いいよ」と言われたのはわかっている。

教室にいたはずなのに知っている天井が見える。

「なんで家のベットに居るんだ?」

「起きたんだね」

「柚木さん良かった」

「起きるの遅いよ。心配したんだから」

柚木さんは本当に心配してたみたいだ。

声がとても震えていた。

「すいません。そと暗いけど何時ぐらいですか?」

「もう夜中の一時だよ」

うちの家は基本的に早寝早起きでもうみんな寝ている。

「体大丈夫?」

「腕が不思議なことに治っているし。なんとか痛みとかは全くないし」

「眠っていた後の状況聞いていい?」

「そうだね。あれから男の人が私たちをここまで運んでくれたんだよね」

男の人と聞いて先生と呼ばれた人かと頭に思い浮かぶ。

明美という輩は幽霊は化け物になるから祓うと言った。

なのになぜ、先生と呼ばれた男は柚木さんを祓わなっかったんだ?

頭に疑問だけが残る。

「男の人と話をした?」

「少しだけ。詳しい話は後日また来てからって」

「そっか。」

先生と呼ばれた男が何を目的にしているの分からなくて恐怖でしかない。

「ごめんね。私のせいでいろいろ迷惑かけちゃって」

柚木さんは申し訳なさから泣き崩れる。

なんと言って慰めればいいか分からず、戸惑う。

「迷惑なんて思っていない」

「私化け物になるんだよ。後々絶対に迷惑になる」

「そんな悲しいこと言わないでくれよ」

「化け物にならないように模索していこう」

「今までで化け物にならなかった人いないんだよ。探したって無理だよ」

「そんなことない。柚木さんは俺が絶対に化け物にさせない」

「大丈夫。根拠とかないけど。俺頑張って探すから泣かないで」

「何それ。信じてもいいの?」

「もちろん」

自信満々に言ったわいいけど何よしよう。

「ありがとね、一緒にがんばろ」

その顔はとても晴れ晴れしていて、さっきまで泣きじゃくっていった顔とは大違いだ。

「明日も学校でしょ。寝ないと起きれなくなるよ」

「さっきまで寝ていたんだけど」

「たしかに、お姉さんが添い寝してあげる」

勢いに押されて二人でベットに入る。

くの字型になり後ろには柚木さんがいる。

「私ね学校でいじめられて、家では父親から暴力振るわれてお母さんは見て見ぬふりをして。誰からも必要にされてこなっかったんだ」

「そんな時に、死んでやっと生き地獄から解放されると思っただよね」

「慎太郎と出会ってね。今日初めて人に必要にされたんだ。ものすごくうれしかった。」

「もっと早く知りたかったなぁ~。でも教えてくれてありがと」

「大好きだよ」

「先まで寝ていたのもう、もう寝てる。」

柚木さんは慎太郎を抱きしめ、寝てしまった。

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柚木さんは幽霊になって居候してきた!! @sakutonaka3910

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