第31話 相棒
初めに来たときと同じく、基地という割りには生活感がある小部屋。
この部屋始まった事を、また始めようと口を開く。
「レイル──話しをしよう」
部屋の隅にいたネアもこちらに気づき駆け寄ってくる。
始まりの四人。役者は揃った。
「クク国にこっぴどくやられたそうじゃない。そんでどんな妙案ぶら下げてきたんだ? あんちゃん」
「妙案なんかじゃない、今までやっていたことのスケールをでかくしただけだ」
少し間をおき、襲撃の夜に浮かんだみんなが自由に生きられる提案をする。
「ボヘミアをルールの度合い区分けして、どこで暮らすかは自分たちで選ぶんだ」
ルールが全くない区。
最低限のルールがある区。
細かくルールのある区。
「自分で自由に選択したなら文句はないだろう?」
「どの区も肌に合わなければ?」
「そいつが新しい区を作ればいい」
また少しの間をおいて、レイルが口を開く。
「さすがあんちゃんだ。また一緒に反乱軍からやりなおそうや」
「ああ、頼むよ相棒」
たたえるように互いの手を強く握る。
「……ばんざーい」
「ネアちゃん、またよろしくお願いします」
「まずは人の確保だねぇ。俺様たちの切り札はあんちゃんのスキルだ」
「 ああ、でなきゃまたクク軍に襲撃されるだけだからな」
「その辺は俺様にお任せよ。もう根回しはしてある。明日の朝には五百人は味方だ」
「……レイルくんエライ」
「さすがレイルさん!」
女性人に誉められ気を良くするレイルに話しを続ける。
「今日の夜──国王を討つ」
「大胆だねぇ。いいのアリシアちゃん?」
「構いません。父は報いを受けるべきです」
がんじがらめに管理され柔軟さを失ったクク国。しかし、王の一言があれば全てを放棄し動くことができる。
逆を言えば、王さえいなければ簡単に軍は動けない。
「城への地下通路は生きてるぜぇ」
「日が変わる頃に四人で潜入して一気に終わらせよう」
「その兵隊さんはどうする?」
すっかり忘れられた警備兵は何か言いたげな表情。口の拘束を解く。
「サチェル様に気をつけろ」
「サチェルさんなら強化した俺の敵じゃないよ」
以前戦った時にサチェルさんの実力は把握した。信頼のおける仲間が三人いれば負けることはない。
「スキル制限より強力な変化が起きたと噂になっている。現にサチェル様はクク国の実力者を次々と下し、今やクク国最強との噂だ」
「わかった。気を付けよう。ひとつ聞かせてくれ──なぜ俺たちに有利な話をする?」
「もういちど、蹴っていただきたいのです!」
アリシアが虫を見るような目でドン引きしている。
そういう区分けも必要になるのかも知れない。
警備兵の拘束をときレイルと共に民の説得にあたらせる。
スキル制限に再チャレンジするアリシア。
上手くいかず、結局警備兵をサンドバッグ代わりに肉体トレーニングに励む。
ネアは俺にくっついていた。
どうやら元気のないレイルと二人きりだと寂しかったらしい。
街が眠る頃。
各々最高のコンディションで、城へと続く道を踏みしめた。
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