第12話 スキル制限
「おかえり~」
「おかえりなさい」
レイルとアリシアの声を聞き安堵する。
少し落ち着いてから二人に捜索の結果を報告した。
ネアは拾ってきた植物の育成をはじめていた。
「ウルフィル──でしょうか。巨大な体躯と鋭いキバで獲物を狩る魔物です」
物知りアリシアがオオカミの奥にいた魔物を予測する。
「あんちゃん、そのスキルじゃなかったら確実に死んでたね~」
「俺もそう思う。だが拠点となる場所は見つけた。あとは魔物問題を解決すれば」
「今の力量では難しそうですね……」
「──ひとつ案がある」
打つ手なしと、沈みこむ空気に耐えきれなかったのか、レイルが神妙な面持ちで切り出す。
「スキル制限だ」
「スキル制限?」
「例えば、あんちゃんの転移スキルが使用回数無制限だが一人移動しかできないとする、そこに使用回数制限をつけることで二人移動が可能になるって具合よ」
「城の本には、そんなこと書いていませんでしたよ?」
「俺様が発見したからねぇ~」
「なにげに凄いなレイル、でも試してみる価値はありそうだ」
「きつい制限であればあるほど、効果は高まるみたいよ」
レイルから制限について詳しく聞くと、一度かけた制限は外せず、複数の制限は可能だが二度の制限は不可。
推測だが、スキルの総量みたいなものは変わらず、一部を不能にすることで濃度が増すイメージだ。
「100%成功するとも限らないし、最悪スキルを失うよ」
「それはかなりのデメリットだな……、すべてのパターンで作戦を練る必要がありそうだ」
「今夜は徹夜ですね!」
徹夜に乗り気なアリシアが鼻息荒くガッツポーズをする。一方レイルは苦虫を食ったように顔をしかめるが、まんざらでも無いのだろう、夜食の支度をはじめた。
ネアの半分閉じている目を輝かせるため、ポケットに忍ばせた葉っぱを与える。
「まずは俺の制限が上手くいかなかった場合だが──」
───翌日───
「それじゃあ、行ってくるよ。もうここには戻れなくなる。本当にみんな付いてくる?」
昨晩、もう基地には戻らない事に決めた。制限が上手くいかなかったり、上手くいっても魔物に通用しなければ死はまぬがれない。それぞれの判断で行くのか決めた。
「あんちゃんと話してると、なんだか行けそうなきがするからね~」
「わたしは……復讐のためなら何でもするです」
「留まっても狙われる命。リスクを取って希望を掴みます。そして民に安寧を」
「みんなでいろんな景色をみよう。行くよ」
『転移』
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