第2話

「っはあ、っはぁ……」

昔から夢をみるのが嫌いだった。

10年前に起こった氷雪の魔女による「魔女の目覚め」あの事件以来、すべての夢が悪夢となってしまう。

暗い室内を朝日が差し、眩い光線が青年、春野彼方(ハルノカナタ)の顔を照らす。

悪夢のせいか、気温のせいか、青年の寝汗は枕にも染みつくほどだった。

「どうしたらいいんだよ……あっちい」

ベットから身を起こして、着ている寝間着を脱ぎ脱衣所に投げ捨てる。

先ほどから鳴り響くアラームを止めて、時刻を確認する。針は早朝五時を指していた。

一人暮らしということもあり、その部屋に静寂が響く。

「ふー、よし」

毎朝の習慣にしているランニングに出向かうために、荒れた息を整えて体操服に着替える。

「強くならないと……」

そうルーティン化された言葉を口ずさみ、靴紐を固く締めドアを開き外へ赴く。

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