第3話
あれから同じ手順を繰り返し、穴ネズミを追加で二匹狩った。
二度目、三度目は、一度目よりもずっと手際良く狩れた様にも思う。
手に入れた折れた前歯も三つになって、そうして僕は一つ強くなる。
そうレベルアップしたのだ。
今の僕のステータスは、こんな感じになっている。
名称:ノア・グロード
種族:人間
年齢:15歳
髪色・瞳色:黒・黒
レベル:2
STR:1
INT:1
DEX:1
VIT:1/1
MND:1/1
戦闘スキル
なし
魔法スキル
なし
他スキル
なし
称号
異端者
ステータスポイント:2
スキルポイント:2
レベルは上がったが、まだ何もポイントは振ってないので初期状態のままだ。
レベルが上がれば、1レベルに付き2のステータスポインととスキルポイントが得られる。
そして1ポイントに付き1だけ、ステータスやスキルレベルを上昇させれるという仕組みだった。
また僕は称号『異端者』の効果で、特定のレベルになった時にはボーナスポイントも入るらしい。
まあ取り敢えず実際にステータスポイントを振ってみよう。
STR:1→2
INT:1
DEX:1
VIT:1/1→2/2
MND:1/1
STRは力で、物理的な攻撃力に直結する。
つまり今の僕は、先程までの2倍の力が発揮出来るのだ。
VITは耐久力や体力で、これが上昇すると敵の攻撃に強くなったり、疲労し難くなったりする。
/の前が現在値、/の後ろが最大値となり、現在値が0になると死ぬ。
先程までの僕なら、血を流したり疲労が積み重っていても、どの位自分が窮地にあるのかわからない状態だった。
VITが1の人間なんてこの世界には山ほどいるし、そう簡単には0にならないけれど、今の僕は自分の体力が半減したら数字で見てわかる様になったのが大きな変化だ。
さて残りは、INTは知力で魔法等の攻撃力に影響する。
別にこれが高ければ頭が良いというのとは少し違うのだけれど、考え事をする際の集中力なんかは増すらしい。
DEXは器用さという意味で、身体を動かす巧さも含まれる為、敵の攻撃を避けたり、逆に攻撃を命中させる他、生産スキル等の効果にも影響を与える、とっても重要なステータスだそうだ。
……重要でないステータスなんてないともいうけれど。
最後のMNDは精神力で、魔法を使用する際に一時消費したり、敵からの魔法に抵抗するのに使う。
VITと同じく/の前が現在値、/の後が最大値となり、現在値が0になると気絶し、大抵はそのまま殺される。
ついでにスキルポイントも割り振ろう。
ステータスポイントは物理戦闘向けに割り振ったので、スキルで取るべきは武器防具の作成だ。
武器防具の作成と聞いて大体の人が最初に思い浮かぶのは鍛冶だろう。
実際に鍛冶のスキルはとても優秀で、最強の武器防具をそろえる心算なら、鍛冶スキルで作成するしかない。
更に1レベルでも習得すれば、適正レベル30までの武器や防具が作れるようになる辺り、鍛冶スキルの性能は生産スキルの中ではTOPクラスの性能を誇る。
けれども僕が取るのは鍛冶スキルではなかった。
鍛冶スキルは確かに優秀だが、一つだけ大きな欠点を持っている。
まあ欠点というか、当たり前と言えば当たり前の話なのだが、鍛冶をするには鍛冶場が必要で、高レベルの素材を扱うなら其れに応じて高性能の炉や設備が必要となるのだ。
拠点を持てるならそれも何とかなるかも知れないが、異端者である僕が一つ所に長く留まるのは、多少のリスクが発生してしまう。
故に僕が習得するのは、鍛冶スキルに比べれば性能は大きく劣るけれども、素材さえあればもっと手軽に武器防具を用意出来る、錬金術のカテゴリである武器錬成と防具錬成だった。
因みにスキルレベルは1+レベル/5が最大値になる為、今はいきなりスキルレベルを2には出来ない。
他スキル
武器錬成1レベル(new) 防具錬成1レベル(new)
武器錬成も防具錬成も、出来上がった代物は鍛冶スキルで作成した物の8割程の性能になる。
更に1レベルの習得で作成出来る様になる武器や防具は、適正レベル10までの物しか作れない。
しかし町から町へ、狩場から狩場へと転々とする予定の僕にとって、このスキルの手軽さは何物にも代えがたい物となる筈だ。
まあ実際に一つ試してみよう。
選択スキルは武器錬成。
折れた穴ネズミの前歯を使い、ガリガリと土の地面に陣を刻む。
陣の知識は、武器錬成を習得した際に頭の中に入って来ている。
出来上がった陣の中央に三つの前歯を置いて、陣の縁に手を突く。
―武器錬成・短刀―
陣が薄っすら光を放ち、置いた三つの前歯は消えて、陣の中央には代わりに一本の短刀が現れた。
齧歯の短刀、適正レベル2。
とまあこの様に、鍛冶スキルに比べると実に簡単に武器が作れるのだ。
もちろん防具錬成の方も同様の性能である。
でも残念な事に、今の僕には未だこの短刀を使いこなす腕はないし、即席ブラックジャックの方が使い易いし威力も出るだろう。
では何故こんな短刀を作成したのかと言えば、当然剥ぎ取りナイフの代用品だった。
そう、レベルも上がり、武器と防具を作る手段も手に入れた僕は、いよいよ突撃兎に挑む事になる。
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