第4話 peepの嘘

barで私はからすに聞いてみた。


「もしもあの夜の出来事が私の間違いって言ったらどうする?」からすを眺めながた。からすは答えた「ふくちゃんにこうするかな…」と私の脇腹をなでた。くすぐったくて

私は笑った。からすは続ける「じゃあさ、聞き返してもいい?」こくりとうなずいた。「もしも、ふくちゃんと私の恋愛が本物だったら、どうする?」私は答える「結婚して、

容姿をもらって、毎日のように愛しあうわ」


からすは飲みかけのワインを飲みながら話す「でもこの街では本物なんていないから、本物のものって生まれるのかな…と思うな。」

本物じゃない?「うん。ここは真ん中の国だと思うんだ…大国に挟まれて、何もできなくて偽装して自分を失った国だと思ってるから」私は境界線をつたった時の事を思い出して寂しくなった。「私は思わないな…きっと

間にある、自分が自分だと思うな」。負けじとワインを飲む「絶対に右と左なんてきめられないわ…だから、それが自分だと私は思ってる」からすは「本音なの?」と私に聞いてきた。私は答えた。からすをみつめて、「もちろんだよ」それから私達は見つめあった。


「今晩どう?」からすは言った。「もちろんよ」と私は答えた。だけど、barの窓際から数人の白黒な人がたむろしているのをみて

下唇をかんだ。女性の悲痛な声もした。


私達は顔をみあわせて、ふっと首をもたげた。「今晩は無理そうだね…」


そうやって、今回の夜はなしになった。







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