兄に守られて
朝焼 雅
ヒーロー
僕のヒーローは兄だった。僕は昔から勉強もスポーツも苦手で、同級生からいじめられ、先生も助けてくれず、ひとりぼっちだった。そんな時いつも僕を庇ってくれたのは兄だった。いじめられて泣いている僕の前に立ちいじめっ子を追い払い、先生や親から怒られても必ず僕を助けてくれた。
そんな兄が大好きで、兄のようになりたいと思い、勉強や運動も一生懸命やり、中学へ上がってからは成績も上がり、運動も得意になり、それなりに充実していたんだが、それを面白く思わなかったいじめっ子たちからのいじめがエスカレートし、僕は学校に行けなくなり、部屋に引きこもってしまった。
親は心配してはいたが、いじめっ子の親とは仲が良く、そんなことするわけないと全く僕のことを信じてくれなかった。
そんな時でも兄だけは僕の事を信じてくれ、僕を励ましてくれたり、ゲームを一緒にしたり、僕のことを一番に考えてくれる。
ある時兄が、「もう大丈夫だから任せとけ」と言っていたんだが、その時はよくわからなかったんだが、週に一回ある面談でそれが分かった。
兄がいじめっ子のことを徹底的に調べて証拠を集め、それを学校と親に突きつけ、いじめが明るみになり、親と先生からものすごく謝られた。その瞬間僕はその場で泣き崩れた。そして、家に帰り、兄にお礼を言うと、「よかったな」と一言答えた。
そして、高校受験も上手くいったんだが、ここで1番スカッとしたのはいじめっ子誰一人第一志望に受からなかったこと。これも兄が何かしたんじゃないかと思ったくらいだった。
僕が高校2年の夏に差し掛かる頃、突然のことだった。学校で先生から呼ばれ何事かと思ったら、兄が事故にあって病院へ運ばれたことを聞き、学校の先生に連れられ病院へ向かった。
病院へ着き、両親の元へ行くと泣きながら、
「落ち着いて入りなさい」と言う。
病室へ入ると白い布を被った兄がベッドに横たわっていた。僕は頭が真っ白になり、何が何だか分からなくなっていた。
兄の葬儀が終わり、兄の部屋の掃除をしているとようやく兄がもうこの世にいないんだと自覚して声を出して泣いた。
兄が死んでからも僕の心にはいつも兄が、僕のことを1番に考えてくれた僕のヒーローが残っている。
それから僕は、兄のように弱い立場の人の味方になりたいと思い、かなり大変だったけど、国家資格を取った。
そして僕は今法廷に立っている。
兄に守られて 朝焼 雅 @asayake-masa
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