3+3=6(第六感)

「ねぇ、先輩。第六感、あります?」

「んー、読んでない。いつの間に出てた?」

「そっちじゃなくて。六巻じゃなくて。ぴらりらりーん、そっち系」

「言わんとしてることは、だいたいわかった」

「それでですね、最近、僕、第六感、冴えてるんですよ」

「それで?」

「今から、お見せします」

「今から、ここで?」

「じゃ、いきますよ……明日は曇り」

「……」

「……」

「ね?」

「それ、単なる天気予報じゃないの」

「いやいや違うんですよお、今までの僕とは違うんですってば。わかりにくいかもしれないけど」

「わかんないわかんない」

「これが第六感なのです。デュフフ。鍛えようと思ってます」

「あんたさぁ、それ、第六感じゃないから」

「じゃあ、なんなんです?」

「そもそも、五感、わかるか?」

「そりゃ知ってますよー。見ざる言わざる聞かざる、ひとつ飛ばして、ばざーるでござーる。でしょ?」

「……」

「……」

「五感ってのはね、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。五つの人間の感覚器官。いわばセンサーのこと」

「なんか三国志に出てきそうな」

「チョーカクに引っ張られすぎだよ」

「そ、それで第六感ってのは?」

「それを見せてやる。いいか?」

「はい」

「……」

「……」

「わかった?」

「ぜんぜん、わかりません」

「じゃ、もう一回、いくよ?」

「はい」

「……」

「……」

「どうだ?」

「あー、わかりました、わかりました」

「それが第六感」

「この『……』が第六感なんですね」

「そういうことだ」

「……」

「……」

「って、ことですよね?」

「飲み込みが早いな」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「やりすぎはよくない」

「えー、ダメなんですか」

「……」

「……」

「……」

「先輩だってやってるじゃないですか」

「これ、やり出すと止まらなくなる。他にも害が生ずる」

「どんな弊害なんすか?」

「例えば……」

「……」

「……」

「……」

「あー、確かに害だわ」

「そういうわけだ」

「僕、これ、極めます。第六感、マスターします」

「……………………」

「先輩、それ、ズルぃっす……」

「……」

「……」

「……」


//.herLie

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