第8話 家での様子⑤
「うう、なんだか重い」
いつもなら体はなんともないのに今日に限って体が重い。
風邪ひいたかなと思って目を下に向けたところで原因が分かった。
乃絵ちゃんが抱きついて眠ってしまっているのだ。
こ、これはご褒美の重さ…
そんなアホなことを思いつつも、見とれてしまうほど可愛い乃絵ちゃんのことを、ここでずっと眺めているというわけにはいかないので優しく引き剥がして、部屋から出る。
「よし」
気合を入れてから、私は朝食とお弁当の準備をする。
居候させてもらってるんだから少し早起きして、これくらいはしないといけない。
だからこそいつものように作っていると、次々と人が起きてくる。
「おはようー。って美佳?ご飯用意してくれてるの?ごめんね」
「いいよー。気にしないでね」
「ありがとう。みんな起こしてくるね」
「あ、ありがとう」
最初に起きてきた悠里が私を見て驚いたような表情をしてから既にテーブルに並べられていた料理を確認して起こす方をかってでてくれた。
テーブルに料理を並べ終わって、お弁当におかずを詰め込んでいく。
「おはようー」
「おはよう美佳ちゃん」
「おはよう美佳」
「連れてきたよ美佳」
「うん、みんなおはよう」
今日は初日でみんなの好みがあんまりわからないので、簡単にオムライスにして、お昼は卵サンドとレタスサンド、おかずには唐揚げや残ったレタスなどのちょっとサラダとフジッコさんからお世話になった豆のものを入れておいた。
「美味しいよ、美佳おねえちゃん」
「ほんとうまいなー。あたしも今度教えてくれない?」
乃絵ちゃんと舞姉は早速という感じにご飯を食べ始めて、伯母さんは簡単に飲み物をテーブルに持ってくる。
悠里はというと、外に新聞を取りに行っている。
私もはやめにご飯を食べてしまう。
いつもよりいい感じにできたかも。
普段はこんなものでいいかな自分で食べるだけだからと思って卵の焼き加減が適当だけど今日は誰かに食べてもらえると思って作ったので、いつもより卵のトロトロ加減が絶妙でいつもより味わって食べてしまう。
そのまま伯母さんと悠里も戻ってきて、ご飯を食べ始めたのだけど、伯母さんがふと何かに気づいたように口を開く。
「美佳ちゃん。ブラつけてないの?」
「ほえ?」
「「「げほげほ」」」
それを聞いた三人はむせて、私は意味がわからず一度フリーズして、そういえばと思い出す。
昨日寝る前にさすがに寝るときは窮屈だからってブラを外したんだった。
だからあれからノーブラで過ごしていたってことだよね。
うわー、やっちゃったな……
そう考えるけど、別に恥ずかしいというのはなかった。
ただ、朝から悠里たち三人の視線を集めてしまっているので、若干空気が気まづくなったような感じがする。
そんなにチラチラ見なくていいと思うんだけどね…
ガン見していいんだよ、ほらって言いたい。
そして恥ずかしがっているところを眺めたい。
そんな変態な考えをもっているとはしらずに、伯母さんは優しく言う。
「でも、いいのよ。自分の家と同じように過ごしてくれたら」
その言葉によって合法的にそのまま居座った私は、少し胸を張ってご飯を食べてみた。
それが後々にかなり恥ずかしくなったのはいうまでもなかった…
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