第458話 クミタイソウ

美術大学の地下にある謎の部屋、教授会。学生たちの間では、その場所で行われる闇の儀式について噂が絶えない。特に、**「くみたいそう」**という隠語がひそかにささやかれていた。


それは、講評会で教授たちに反抗する学生が地下に連れ込まれ、行方不明になるという話だった。


ある夜、学生のダイラは遅くまで課題に取り組んでいた。廊下を歩いていると、地下への扉が半開きになっているのを見つける。中から低い笑い声と、鈍い物音が響いていた。好奇心に駆られたダイラは、そっと扉を押し、地下へと降りていった。


暗闇の中、奥に広がる空間が明るく照らされていた。そこには信じがたい光景が広がっていた。


手足を縛られた学生たちが、人間ピラミッドを組まされていたのだ。

最下段には、かつて行方不明になったと噂されていた学生たちの顔が見える。その中にはダイラの友人、クワヤマダの姿もあった。


「クワヤマダ…?」

ダイラが呟いた瞬間、背後から冷たい声が響いた。


「見てしまったか。」


振り向くと、そこにはモウガ教授が立っていた。その手には、錆びついたスクリュードライバーが握られている。


「芸術には、犠牲が必要なんだよ。」


教授の言葉が終わると同時に、周囲から黒い影が現れ、ダイラを押さえつけた。彼は全身を拘束され、抵抗する間もなく、スクリューで体中に無数の穴を開けられた。


意識が遠のく中、ダイラはピラミッドの最上段に運ばれるのを感じた。下から見上げる教授たちは満足げに笑っていた。


「これでまた、一段高くなったな。」


翌朝、地下への扉は何事もなかったかのように固く閉ざされていた。そしてダイラの姿を知る者はいなくなった。


だが、講評会のたびに「くみたいそう」という言葉が学生たちの間でひそかに囁かれる。その恐ろしさを知る者だけが、決して教授たちに逆らうことのないよう身を潜めるのだった。

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