第432話 照道の開祖

クワヤマダ:

「ダイラ先輩、ヤバい話聞きましたよ!未来で、先輩が『照道』の家元として崇められてるらしいじゃないですか!」


ダイラ:

「うん、俺も信じられないけど、どうやらそうみたいだな。『光の美を味わう道』なんて、俺のルーティンワークがそんな大ごとになるなんて夢にも思わなかったよ。」


クワヤマダ:

「でも、『照道』って具体的に何するんですか?」


ダイラ:

「簡単に言うと、光を見て、感じて、心に染み込ませるんだ。例えば、夕陽の色合いを愛でたり、電球の柔らかい輝きに感謝したりする。そういう行為を通じて心が豊かになるっていう考え方だ。」


クワヤマダ:

「えっ、信号機の赤とかも味わうんですか?まるで芸術じゃなくて、哲学の領域じゃないですか。」


ダイラ:

「未来ではそう思われてるみたいだな。特に俺が作った『時空シャワーライト』とか『星屑ランプ』が、癒やしのアートとして大人気らしい。」


クワヤマダ:

「その『人気』ってどのレベルですか?」


ダイラ:

「例えば、熱狂的なファンが俺の照明をリュックに入れて、通勤電車の中で瞑想してるくらいだ。」


クワヤマダ:

「電車の中で瞑想!? 超迷惑!どんな光景ですかそれ!世界無神経学会にまた目をつけられますよ(笑)」


ダイラ:

「しかも、そのファン、SNSに『電車の中でも光の道を歩む』って投稿して、すごいバズったらしい。」


クワヤマダ:

「ウケる!でも、なんかいい話ですね。他にもあるんですか?」


ダイラ:

「ああ、『光巡礼』っていう活動も盛り上がってるらしいよ。俺の特殊照明が設置されてる場所を聖地みたいに巡って、写真を撮ったり、祈ったりするんだ。」


クワヤマダ:

「祈る!? 照明の前で?」


ダイラ:

「そう。それが未来では普通らしい。特に人気なのが『エメラルドグリーンの水銀灯』で、その光の下でヨガをしたり、絵を描いたりして、自分と宇宙を繋げる感覚を楽しんでるらしい。」


クワヤマダ:

「水銀灯の光で宇宙と繋がる!? 未来の人たち、ちょっとスピリチュアルすぎません?」


ダイラ:

「でも、俺の照明がただの道具じゃなくて、人の心を動かすものになったのは、やっぱり嬉しいよ。」


シーン転換:未来のファンコミュニティ


ある未来のカフェ。天井に吊るされた「ダイラ式星屑ランプ」の下、ファンたちが集まり語り合っている。


ファンA:

「昨日、ついに『光巡礼』であの水銀灯スポットに行ったの!光を浴びた瞬間、自分が宇宙の一部になったみたいだった。」


ファンB:

「わかる!私なんて、仕事のストレスが全部溶けて、涙が止まらなかったもん。」


ファンC:

「私の人生の転機は『時空シャワーライト』の光を初めて見た時だったわ。あの光に救われたから、今は自分で照明アートを学んでるの。」


ファンD:

「僕は特殊照明器具を全身にまとい、スカイツリーからダイブしたよ。」


ファンE:

「私のバイブルは、なんと言ってもダイラ物語!3000話を読破したら世界が特殊な光に包まれたの!」


クワヤマダ:

「先輩、これ、本当に未来の話なんですよね?もはや宗教とアートの融合じゃないですか。」


ダイラ:

「そうかもしれないな。でも、どんな形であれ、俺が作った光が人の心に寄り添えたなら、それでいいんだ。」


ダイラは静かにそう言いながら、小さな照明器具を頭に付けて、街に繰り出した。柔らかい光が街を包み、未来への希望をそっと照らした。

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