流行ダイラ
第431話 「ふてほど」もほどほどに
「ふてほど」年間大賞!ダイラとクワヤマダくんの流行語分析会
カフェの窓際席。ダイラとクワヤマダくんは、2024年の「新語・流行語大賞」発表ニュースを見ながら会話を始めた。
ダイラ:
「いやぁ、今年の大賞『ふてほど』って、ドラマがきっかけだったんだな。阿部サダヲのあの演技、確かに絶妙だったけど、ここまで流行るとは思わなかった。」
クワヤマダ:
「しかもドラマのタイトルそのまま略しただけってところが逆に潔いよな。『不適切にもほどがある!』なんてタイトル、今の時代でギリギリ攻めてる。」
ダイラ:
「でも面白かったよな。1986年から2024年にタイムスリップした教師がサラリーマンとして、コンプライアンスに縛られた現代で四苦八苦するっていうあの設定。昭和のおやじの無神経さが、令和だと完全にアウトってやつ。世界無神経学会の連中も注目してたわ。」
クワヤマダ:
「阿部サダヲが『僕は普段おとなしく暮らしてるので、不適切なことをしてる自覚はありません』って言って笑いを取ったコメント、あれも絶妙だったな。」
ダイラ:
「選考委員のやくみつるが言ってた『昔の流行語にはコンプライアンス上使えなくなったものも多い』ってコメント、考えさせられるよな。」
クワヤマダ:
「『イッキ!イッキ!』とか、まさに時代の負の遺産だよな。昭和的な飲み会文化は、今や完全にパワハラ認定される。」
ダイラ:
「やくが『あえてギリギリを攻めた今回のドラマは、逆説的に新語・流行語大賞を想起させた』って言ったのも興味深い。時代の変化を問う姿勢が評価されたのかな。」
クワヤマダ:
「ところで、トップテンのラインナップ見たか?『初老ジャパン』とか『ホワイト案件』とか、今年も絶妙だよな。」
ダイラ:
「個人的には『もうええでしょう』が気になる。ピエール瀧の『もし大賞取ってもやくさんには会いたくない』って発言、あれ意味深すぎないか?」
クワヤマダ:
「あれな、瀧がやく(薬)に何か言いたいことでもあるのか、逆に避けたい何かがあるのか…深読みしちゃうよな。でもまあ、令和の世相をうまく切り取ってるとは思う。」
ダイラ:
「結局さ、『ふてほど』って、時代のギャップを象徴してる言葉だと思うんだよな。昭和のおやじ文化が不適切だったのは間違いないけど、それが当時は“コミュニケーションの一部”だったっていう矛盾。」
クワヤマダ:
「令和の僕たちは、その矛盾をどう受け止めるかが課題だよな。完全に否定するだけじゃなく、昭和の文化を反面教師として学べるところは学ぶべきかもしれない。」
ダイラ:
「そうだな。『ふてほど』が選ばれたのは、ギスギスした現代社会が“正しさ”だけでは立ち行かないことを示唆してるのかも。どこまでギリギリを攻めるか、そのバランスが問われてるんだ。」
クワヤマダ:
「まぁ、世界無神経学会からすれば不適切もほどほどにくらいが、理想的な人間社会のあり方に近いんだろうなぁ。」
二人はコーヒーを飲み干しながら、流行語から垣間見える時代の価値観の移り変わりについてさらに議論を続けた。その話題の尽きなさが、現代社会の複雑さを象徴しているかのようだった。
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