第429話 世界無神経学会(ZUBORA)
世界各地から集まった“ズボラ”と“無神経”の研究者が一堂に会する「世界無神経学会」通称(ZUBORA)の会場だった。ダイラとクワヤマダくんは、その珍妙な学会で予想外の発表の数々に驚かされることになる。
奇想天外な発表タイトル
学会プログラムを眺めながら、二人は爆笑をこらえきれなかった。
ダイラ
「おいクワヤマダ、見ろよ。あの発表タイトル。“満員電車でリュックを背負い続ける心理学的要因”。絶対、俺たちの知り合いにいそうだろ?」
クワヤマダ
「いやいや、こっちもすごいぞ。“同僚の成果を自分の手柄にする無神経性の進化的意義”。研究者の顔、めちゃくちゃ堂々としてるな。」
ダイラ
「おい、これも見逃せない。“『ご飯まだ?』と帰宅直後に叫ぶ夫の無神経さと地域別文化比較”。全国の夫たちのデータがどう役立つのか気になるよな。」
笑いをこらえつつ、二人は次々とユニークな発表を聞いて回った。
ズボラの逆襲:「主婦ズボラ家事術」
壇上でスピーカーが熱弁を振る。
スピーカー
「例えば、主婦の“ズボラ家事”!洗濯物を畳まずに山積みの中から必要なものだけ取る手法。これによって、時間短縮だけでなく、家族全員の探索能力も向上しました!」
観客はざわめく。
ダイラ
「おい、これただの手抜きだろ?」
クワヤマダ
「いやいや、進化だよ。お前だって冷蔵庫の賞味期限切れを探し出すの得意だろ?それと同じ理屈さ。」
スピーカーがさらに続ける。
スピーカー
「さらに興味深いのは、ズボラ家事を実践する家庭の子供たちは、学校で“適応力が高い”と評価される傾向にあることです!」
会場は拍手に包まれるが、ダイラは腕を組み首をかしげた。
ダイラ
「適応力って、ズボラな環境に慣れただけじゃないのか?」
無神経性の進化的意義:「夫の一言が家庭を動かす」
次の発表では、無神経な夫の一言が家庭内に及ぼす影響が議論された。
スピーカー
「次に注目すべきは、夫の無神経発言による家庭内エネルギーの再分配です。例えば、『夕飯、これだけ?』と言って妻を怒らせることで、一時的に緊張が高まり、家族全員が効率を意識し始める現象が観察されました。」
クワヤマダ
「つまり、無神経な発言が家庭の生産性を向上させるってことか?」
ダイラ
「いやいや、それ怒らせてるだけだろ!」
会場は爆笑の渦。
満員電車のリュックと手柄泥棒
学会終盤、二人が興味をそそられたのは“満員電車リュック心理”と“手柄泥棒の進化”に関する発表だった。
スピーカー
「満員電車でリュックを背負い続ける人々の心理的要因を調査したところ、彼らには“自分の快適さを最優先する戦略的無神経”が見られました。」
ダイラ
「つまり、あいつらは戦略的にズボラなんだな?」
クワヤマダ
「俺たちがよく遭遇するタイプだよな。気づかないふりして強いメンタルを発揮するってやつだ。」
続く発表では、同僚の成果を自分の手柄にする人々の“進化的意義”が語られた。
スピーカー
「他人の成果を自分のものにする無神経さは、実は社会的地位を迅速に向上させるための戦略です。この手法を使う人々は、チーム内の“情報共有”を加速させる副次的効果もあります。」
クワヤマダ
「おい、手柄泥棒がチームの発展に貢献してるって、さすがに言いすぎだろ。」
ダイラ
「でも、こんな風に堂々と語られると、手柄泥棒も“進化の勝者”に見えてくるな。」
帰り道の語り合い
学会を後にした二人は、虹色のジャングルジムで遊びながら話し合う。
クワヤマダ
「でもさ、ズボラとか無神経って、案外バカにできないのかもな。」
ダイラ
「まあ、肩の力抜いて生きるって意味じゃ、大事なスキルかもな。」
クワヤマダ
「このダイラ物語の作者も無神経極まりないからな。根っからのズボラーだし。俺も気楽にやりたいな。」
ダイラ
「おう。ズボラと無神経が人類を救うかもしれないからな!」
二人はジャングルジムを登り、銀河鉄道が駆ける星空を見上げた。その夜空には、ズボラな主婦と無神経な夫が軽食を片手に宇宙を旅しているような光景が浮かび上がっていた。
彼らこそ、進化の象徴なのかもしれない。
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