第427話 かんガエルな!感じろ!

ダイラ: 「なあ、クワヤマダ。宇宙の果てって考えるほど分からなくなるよな。」


クワヤマダくん: 「確かに、果ての果てをイメージした辺りから吐き気がしてくる。でも、そもそも僕らの“考える”って何なんでしょう?頭の中を見ても、文字や数字、画像なんか出てきませんし。」


ダイラ: 「確かに。俺たち、何かを“想像している”ような気がするけど、実際には何も形になってないよな。」


クワヤマダくん: 「想像しているものがあるのか、ないのか。それって、宇宙を理解するための鍵になるかもしれないですね。」


謎のカエルとの出会い

ある日、ダイラとクワヤマダくんは、タイムマシンのテスト中に謎の湿地帯に迷い込んだ。そこに現れたのは、巨大なカエルだった。


カエル: 「お前たち、人間は何かを考えているつもりだろうが、実際には“限界の中”でぐるぐる回っているだけだ。」


ダイラ: 「限界の中?」


カエル: 「そうだ。お前らの脳内を覗いても、文字も数字もイラストもない。ただのニューロンの信号に過ぎん。なのに、そこから意味を生み出していると思い込んでいる。」


クワヤマダくん: 「え、じゃあ僕らが想像している宇宙の果ても、実際には何もないってことですか?」


カエル: 「“何もない”とは違う。だが、それを理解するにはお前たちの思考力では不十分だ。人間が宇宙を理解するには、その限界を超えねばならん。」


ダイラ: 「どうやって限界を超えればいい?」


カエル: 「“考えるな、感じろ”だ。」


ダイラ: 「……ブルース・リーかよ!」


想像の果て

ダイラ: 「結局、宇宙の果ても俺たちの頭ん中じゃ描けないってことか。」


クワヤマダくん: 「でも、ダイラ先輩。それって逆に、何でもアリってことじゃないですか?宇宙の果てがカエルの腹でも、ブルース・リーでも、間違いとは言えない。」


ダイラ: 「ああ、俺たちが思いつくこと全部が“あり得るかも”って話だよな。限界があるからこそ、その外を夢見られる。」


クワヤマダくん: 「つまり、僕らが想像することこそが、宇宙を理解する鍵なんですね。」


考えるな、カンガエル

ダイラとクワヤマダくんは、カエルの助言を胸にタイムマシンで未来に向かった。たどり着いた先には、想像を超えた知的生命体がいた。しかし、彼らが発した言葉はただ一言。


知的生命体: 「考えるな、感じろ。」


結局、ブルース・リーかよ。


ダイラとクワヤマダくんは、宇宙の果てについて考えることをやめ、ただその美しさに身を任せることにした。鏡を向き合わせたときにできる永遠のように、果てはきっと、自分たちの想像力の中にだけ存在するのだろう。

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