第426話 偏差値(変幸)の味
テレビを見ながら茶の間に座るダイラとクワヤマダくん。今日も何やら未来派の面白い話を始める様子だ。
ダイラ: クワヤマダくん、この間、昭和時代に流行っていた変わった話を聞いたんだよ。「偏差値」ってやつ知ってる?
クワヤマダくん: (頭をひねる)「ヘンサチ」?それ、海の幸か?それとも山の幸か?
ダイラ: (笑いながら)お前、本当に言葉を面白く解釈するな。「偏差値」ってのはな、頭の中味の一面を数字で表したものだよ。まぁ美大や芸大には存在しなかった概念だから知らなくても仕方ない。とりあえず食い物じゃない。
クワヤマダくん: (真顔で)そりゃ損したな。偏差値があったら何かうまいもの食べられると思ったのに。
ダイラ: お前が食べ物のことばかり考えてるのは分かるけど、今日は偏差値について深い話をしてみようと思うんだよ。
クワヤマダくん: 深い話?なんだか怖いな…。
ダイラ: 偏差値なんて、アートの世界では何の意味もないんだよ。ピカソも岡本太郎も、偏差値を意識して作品を作ったわけじゃない。
クワヤマダくん: (興味津々)じゃあ、アートの世界では何が大事なんだ?
ダイラ: 分からないことを抱え続ける力だよ。
クワヤマダくん: (驚いて)分からないこと?そんなの不安じゃないか!俺なんて分からないことがあると夜も眠れなくなるぞ。
ダイラ: それが普通だ。でもな、クワヤマダくん。人間が本当に成長するのは、分からないことをそのまま抱え続ける力を持つときなんだ。それを「ネガティブ・ケイパビリティ」って言う。
クワヤマダくん: ネガティブ?なんだか聞いただけで気分が暗くなるな…。
ダイラ: いや、違うんだ。それは「答えを急がない力」だ。たとえばアートでは、作品を作るときに「これが正しい形だ!」って分かるわけじゃない。でも分からないまま手を動かしていくうちに、突然「これだ!」っていう瞬間が来るんだ。
クワヤマダくん: (ぽんと手を叩いて)あ、分かってないことに耐えるのが大事ってことか!
ダイラ: その通り。偏差値みたいな数字があると、安心するだろ?でも安心だけじゃ、本当の幸せにはたどり着けない。
クワヤマダくん: (しみじみと)そうか…。変幸(ヘンサチ)って、本当は「変わる幸せ」ってことなのかもしれないな。
ダイラ: (微笑んで)そうだな。分からないことを恐れずに、変化を受け入れていく。数字じゃなくて、自分の感覚を信じてみろ。それが「変幸」の味だよ。
クワヤマダくん: (立ち上がり)よし、俺も明日から「変幸」の旅に出る!まずは腹八分目をやめて、腹七分目に挑戦だ!
ダイラ:ちょっとずれているが、偏差値より変幸の方がうまいはずだ。人間の能力は数字では測りきれない。クワヤマダくんを見ているとつくづくそう思う。
クワヤマダくん:先輩〜
「変幸(ヘンサチ)」――それは数字を超えて未知を味わう、人生の新しい一歩を示していたのかもしれない。
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