第424話 「人国記」謎のディスリ!?

ダイラ: クワヤマダくん、聞いてくれ。俺、つい最近、タイムワープして室町時代に行ってきたんだよ。


クワヤマダ: またかよ。タイムトラベルって普通、慎重にやるもんだろ?で、今度は何を調べてきたんだ?


ダイラ: 「人国記」の作者だ。あの国ごとの辛辣な評価、ずっと謎のままだったろ?


クワヤマダ: ああ、「京都に近いほど欲深く、離れるほど内向的」とか書いてるアレか。正直、当時の人々がそれ読んで何を思ったのか気になるな。


ダイラ: そう思って調べてきたんだよ。で、分かったんだ。その作者が誰か。


クワヤマダ: まさかとは思うけど…先輩の先祖とかじゃないだろうな?


ダイラ: 驚くことに、あの「ダイラ物語」の作者だったんだよ。


クワヤマダ: は?ダイラ物語ってお前と同じ名前の…え、あの謎の伝記物の?


ダイラ: そう。そのダイラ物語の作者が「人国記」も書いてた。で、さらに驚いたことに、あいつ信濃の出身だったんだよ。


クワヤマダ: 信濃?長野の?それで信濃の記述が妙に良い評価ばっかりなのか。


ダイラ: その通り。「信濃の武士は天下一。百姓や町人ですら品行方正で、もう他の国とは比べ物にならないよ、レベルが違う。

臆病な人も居るが他の国の一般人程度であり、例え話の中ですら卑怯な事は言わない。

もしも卑怯な事をしたら仲間外れにされるから、どんな人も義理堅くなる。頭も良くて、他国の追随を許さないね。山奥だから頑固な人も多いけど、信濃は本当に善い国だよ。」なんて、ほぼ絶賛のオンパレード。他の国が辛辣な評価されてる中で、信濃だけ異様に輝いてた。地元愛がすごいよな。


クワヤマダ: いや、それもう歴史的プロモーションだろ。他の国の記述が厳しければ厳しいほど、信濃が輝いて見える。


ダイラ: 室町時代における情報戦略の走りって感じだな。


クワヤマダ: だけどさ、その地元愛が長野の「教育県」というイメージに繋がったって考えると面白いな。


ダイラ: 確かに。作者の意図は分からないけど、地元への誇りが未来を形作ることもあるんだな。歴史って面白いよな。人間の心が、時間を超えて影響を与え続けるんだ。


クワヤマダ: それで言うとさ、歴史ってのは本当の意味で「未来の記憶」だよな。あの作者が信濃を美化した結果、それを読んだ人々が地元に誇りを持ち、それが教育や文化を育てたのかもしれない。


ダイラ: クワヤマダくん、たまに深いこと言うな。そうだな、歴史は未来の記憶だ。作者もそこまで考えてたかは分からないけど、結果的にそうなった。


クワヤマダ: で、先輩の名前がついてる「ダイラ物語」の話だが…先輩もその系譜を引き継いでるんじゃな?


ダイラ: それはどうだろうな。でも、もし俺にそんな力があるなら、現代の人国記を書いてみるのもありかもな。


クワヤマダ: 面白そうじゃん。日本だけじゃなく、地球とか宇宙規模で書いてみろよ。「地球国記」みたいな感じで。


ダイラ: まずは信州そばを食べながら考えるか。腹が減ってちゃ未来も語れない。


クワヤマダ: ラーメンじゃなくてそば?珍しいな。でもいいぜ、付き合うよ。


二人はそば屋へ向かいながら、夜空を見上げた。その星々は、過去から未来までをつなぐ時間の粒子のように、無数に瞬いていた。


クワヤマダ: 星ってさ、何億年も前に光ったものが今見えてるんだろ?俺たちも、何百年後かの未来の誰かに「光」になって見えてたらいいよな。


ダイラ: そうだな。その光がそば屋で考えた現代版「地球国記」だったら、それもまた一興だ。


二人の笑い声が、歴史と未来をつなぐ静かな夜に響いた。


「人国記」その他 ※酷すぎる!

飛騨の人は律儀だけど愚か。

その愚かさは日本一であると多くの人が思っていて、まるで井の中の蛙。

武士も現状で満足してて、向上心に欠けている。

山奥の田舎者だから仕方が無いかな。

武骨で頑固な性格だからね。


近江の国の連中はズルくて、賢い人なんて聞いたことが無い。

口ばかりが上手くて、自分の都合の悪い事は隠して調子の良いことばかり口にする。

確かに傍から見ればさぞ素晴らしい国に見えるだろう。

しかし、そんなものは見せかけに過ぎない。

金と言われたから黄金や銀かと思ったら、銅や鉛や錫だったみたいなものだ。

ズル賢いと賢いは紙一重で、馬鹿な自分には見分けがつかなかったさ。

一見ではわからないんだから仕方がないではないか。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る