第417話 ビッグ5性格戦略
未来都市の夜。エメラルドグリーンに輝く空には無数の星々が瞬き、光る橋の上でダイラとクワヤマダくんは向き合っていた。ダイラが未来の特殊照明を片手に、銀河の一部を映し出しながら語り始める。
ダイラ: 「クワヤマダくん、さっき未来の心理学セミナーでビッグ5性格検査の話を聞いたよね。考えてみたことある?」
クワヤマダくん: 「ああ、聞いたよ。外向性とか協調性とかだろ?でも、俺にはちょっと抽象的すぎるな。筋トレかラーメンの話なら得意なんだけど。」(タンクトップを引っ張りながら)
ダイラ: 「ビッグ5ってさ、人間を5つの基本的な性格要素で分類してるんだ。外向性、協調性、誠実性、神経症傾向、そして開放性。この5つが組み合わさって、僕らの個性や行動が形作られるって理論なんだよ。」
クワヤマダくん: 「つまり、俺の筋トレ好きとかラーメン好きも、この性格要素で説明できるってこと?」
ダイラ: 「そう。たとえば君は、外向性が高いから、どの時代に行っても新しいラーメン屋に飛び込む冒険心がある。協調性も意外と高いよね。筋トレ仲間を大事にしてるし。」
クワヤマダくん: 「確かに!でも、神経症傾向ってやつはどうなんだ?俺はそんなにイライラしないし、悩むことも少ないぞ?」
ダイラ: 「それも君の強みだよ。神経症傾向が低い人はストレスに強いし、ポジティブに物事を受け止めやすい。一方、僕は少し高いかもね。未来の照明プロジェクトでミリ単位の調整が必要なときなんか、いつも神経がピリピリしてる。」
クワヤマダくん: 「そうか、だから君は細かいところまで気を配れるんだな。俺はそんなこと考えたこともないけど。」
ダイラ: 「それが面白いんだよ。もし全人類が君と同じ性格だったら、確かにストレスフリーで筋肉ムキムキな世界になるかもしれない。でも、全員が筋トレとラーメンしか考えなかったら、どうやって医療や科学、芸術が進化すると思う?」
クワヤマダくん: 「そりゃ、みんな健康だから医療はいらないかもな。でも…科学や芸術はどうだろう?それはそれで寂しい気もする。」
ダイラ: 「そうだろ?逆に、全員が僕みたいに神経症傾向が高くて、開放性ばかり重視してたらどうなる?」
クワヤマダくん: 「夜空は照明アートだらけで美しくなるけど、毎日細かいことで悩み続ける世界になるんだろうな。そんなの、ラーメン食べながら気楽に生きるのと正反対だ。」
ダイラ: 「結局、僕たちがこうして旅を続けられるのも、お互いの性格が補い合ってるからなんだよ。君の無邪気さと決断力が僕に勇気をくれるし、僕の緻密な計算が君をサポートしてる。」
なぜ人間に性格があるのか?
ダイラは未来の空を指差しながら話を続けた。
ダイラ: 「性格って、僕たちの認知や行動を形作る『フィルター』みたいなものだと思うんだ。時代や環境に合わせて、誰かがリーダーになり、誰かが支える。ビッグ5のバランスが、進化の中で自然に生まれた『生存の戦略』なんじゃないかな。」
クワヤマダくん: 「ってことは、性格があるのは人間だけじゃない?動物にもあるよな。犬の忠誠心とか、猫の自由奔放さとか。」
ダイラ: 「その通り!動物の性格も環境に適応するために進化してきた。性格が違うからこそ、多様な生存戦略が可能になる。まるで、宇宙の中の星々みたいに、それぞれが役割を持って輝いてるんだよ。」
二人は笑い合いながら未来の銀河を見上げた。その空は、過去から未来までの人間の性格や行動、夢や不安を映し出す巨大なキャンバスのようだった。
ダイラ: 「もし僕らが自分の性格を否定してしまったら、この壮大なパズルは完成しない。だから、どんな欠点も長所もひっくるめて、今の自分に感謝しようよ。」
クワヤマダくん: 「よし!俺もこのタンクトップ魂に感謝して、これからもどんな時代でもラーメンを探し続けるぞ!」
二人の影は、未来の街に広がる光と共に溶け込んでいった。その影は、異なる性格を持ちながらも補い合う、タイムトラベラーたちの友情の象徴だった。
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