第412話 猫的生存戦略(それにゃ)

(ダイラとクワヤマダくんは、タイムトラベルの途中、「猫から学ぶ人類学展」を訪れることにした。)


クワヤマダ:「ダイラ先輩、ここが『猫から学ぶ人類学展』か。入り口からして猫だらけだね。」


ダイラ:「ここは猫の生態と行動から人間社会を見直す企画展らしい。テーマは“自然体の生存戦略”だ。」


(最初の展示室に入り、巨大なスクリーンに猫が日向ぼっこしている映像が映し出される。)


解説パネル:「猫は“何もしない”時間を大切にします。その無駄のように見える行動が、結果的に長寿や健康につながるのです。」


クワヤマダ:「先輩、これってつまり“休むことも仕事”ってこと?」


ダイラ:「そうだ。人間も無駄を恐れず、自分を取り戻す時間を作るべきだってことだな。」


(次の展示は、猫と人間の共生についてのセクション。)


クワヤマダ:「これ見て!“人間に飼われることで進化した猫の能力”って書いてあるよ。」


ダイラ:「例えば、“かわいい”行動をする能力だな。人間の注意を引く仕草が進化した結果、猫は地球上で最も愛される生物の一つになった。」


(横のパネルには猫を抱いて笑顔を浮かべる人々の写真が並ぶ。)


クワヤマダ:「なるほど。だから猫は、自分を特別に見せる技術を磨いたのか。」


ダイラ:「ただし、それを無理せず自然にやっているところがポイントだ。」


(最後の部屋には「猫から学ぶ人間社会への提言」という展示がある。)


解説パネル:「猫が人間社会に示唆するのは、成果主義を超えた“存在価値”の重要性です。ただそこにいるだけで、周りを癒し、豊かにする能力を人間も学ぶべきです。」


クワヤマダ:「これ、あの“地元で愛されるあの人”に通じる話じゃない?何もしてないのに町のみんなが幸せになるタイプの。」


ダイラ:「そうだ。こういう人たちは“猫的生存戦略”を無意識に実践している。自然体の強さってやつだ。」


(展示を見終わった後、ふたりはベンチに座り、考え込む。)


クワヤマダ:「でもさ、人間はつい成果とか結果を求めちゃうよね。それが社会のルールみたいになってるし。」


ダイラ:「だからこそ、猫の生き方に学べるんだ。“無理しない”、“愛される存在になる”ってだけで、猫は地球を支配しているようなものだ。」


クワヤマダ:「よし、俺も今日から“猫的生存戦略”を始める!まずは昼寝からだ!」


ダイラ:「猫の昼寝は愛しいけど、おじさんの昼寝はやっぱり…。」 


クワヤマダくん:「それな(にゃ)〜。」


(ふたりは笑いながら未来へのヒントを胸に、再び旅に出る準備をする。)

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