第405話 ジャイアント首相のおもてなし

2050年、地域に解放したアトリエで、ダイラとクワヤマダくんが未来の日本外交について話し合っていた。

エメラルドグリーンの特殊照明が壁に不思議な模様を映し出す中、二人の声が響く。


クワヤマダくん:

「なあ、ダイラ先輩、知ってる? 日本が昔、ジャイアント馬場をクローン再生して首相にしたって話!」


ダイラ:

「馬場さんって、あのプロレスの? 確か208センチの巨人だったよね。そんな人を首相に? 面白い発想だね。」


クワヤマダくん:

「それがさ、ただのクローンじゃないんだ。最新のAIを搭載して、スピーチも論理的だし、外交の場では完璧な対応をするらしいよ。けど、政府の本音はもっと単純だったんだって。」


ダイラ:

「本音?」


クワヤマダくん:

「でかさだよ、でかさ! あのトランプ大統領に並んだとき、圧倒的に大きく見えるためらしいんだ。」


ダイラは笑いながら頷いた。

「なるほどね。視覚的インパクトか。外交は戦略だけじゃなく、見た目も大事だってことだ。」


クワヤマダくん:

「そうそう。それで、G7会議とかでトランプと並ぶと、馬場首相が胸のあたりまでしかないトランプを見下ろす構図が、もう最高に話題になったんだって。」


ダイラ:

「それ、完全にプロレスのリングでの睨み合いみたいだね。でも、外交場面でそんな大きさの戦略が必要になるなんて、面白い時代だったんだな。」


クワヤマダくんはさらに笑いながら話を続けた。

「極めつけは、トランプが日本に外交に来たときに馬場首相に肩車される写真が撮られたこと! 馬場の肩に乗ったトランプが『見ろ、俺は世界を見下ろしているぞ!』って叫んだらしいよ。」


ダイラは目を丸くして驚いた。

「えっ、本当に? 馬場さんの肩に乗るトランプ大統領か…。それはインパクトがありすぎる。いろんな意味を含んだおもてなしだ。で、その写真はどうなったの?」


クワヤマダくん:

「『大きさの友情』ってタイトルで世界中に広まったらしい。意外と外交的には成功したみたいだよ。」


ダイラは少し考え込んでから、ふと語り出した。

「でもさ、これって面白い教訓だよね。『大きさ』って、ただ物理的なものだけじゃなく、人の心に希望を与える力でもあると思うんだ。馬場さんが最後に残した言葉もそんな感じだったんじゃない?」


クワヤマダくん:

「さすが先輩。でかさの哲学だね。でも、やっぱり日本って不思議な国だよな。何かに困ると、とんでもない方向に発想を飛ばすっていうかさ。摩訶不思議ない国だよ。」


ダイラ:

「それがこの国の魅力かもね。困難をエンターテインメントに変えられるスピリット。ほら、クワヤマダくん、次は僕らの作品で新しい『大きさ』を見せてみようか。」


クワヤマダくんはケタケタと笑って特殊照明を調整し始めた。二人の新たなアイデアが、またこのアトリエから生まれようとしていた。

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