第395話 あぁ無常のクオリア香

ダイラ:「クワヤマダくん、紹介するよ。この方が700年前の鎌倉時代から2024年に来てくださった、あの『徒然草』を書いた吉田兼好さんだ。」


クワヤマダくん:「え、まさか!大随筆家を現代に連れてくるなんて……ダイラさん、クレイジーだよ!トランプ大統領とか、イーロン・マスクみたいな現代のリーダーについて、兼好さんはどう見ているんだろう?」


兼好:「ふむ、トランプという人物、まるで風変わりな色を放つ流れ星のようじゃな。寄席でいういろもんじゃ。世の関心を一身に集め、己が道を行く姿は、この世の泡沫ともいえる。しかし、その儚さの中にも、人々の心を掴む不思議な光がある。」


そこに、脳科学者の茂手木さんが割り込んできた。


茂手木:「皆さん、まさにその儚さこそ、現代科学が解明しようとしているクオリアですよ!トランプ氏の大胆さや、マスク氏の果てしない探究心――これらは、脳の希望を紡ぐ仕組みと深く関係しています。」


兼好:「ほう、希望か。人は無常の世にあって、どのようにして希望を抱くものなのだ?」


茂手木:「実は、無常の中でこそ脳は未来を見据える希望を生み出すのです。脳内の特定の回路が、それを感じ、他者と共有し、刹那の光を生み出す力となるのです。」


クワヤマダくん:「つまり、儚さを知りながらも、未来への希望を抱く力が私たち人間には備わっているんですね。だからトランプさんやマスクさんも、ある意味、希望の光であり、その存在自体がクオリアなのか?」


兼好:「そうか……。儚いからこそ美しい。この世の泡沫が輝く瞬間、それが未来へと渡され、希望として人々の心を照らし光りと香りを残す。無常の中に確かな希望があるとは、興味深いものじゃ。光りと香りのある草(クオリア香)じゃな。」


ダイラ:「兼好さん、もしかしてこのダイラ物語も、徒然草のようにいつか世界大随筆の一冊になりますか?それとも消えてゆくんでしょうか?美しい泡沫として何かを残せるのでしょうか?」


兼好:「そうじゃ、ダイラよ。泡沫ゆえに、この物語もいずれ消え去る。しかしその儚さこそが、この世の趣というもの。まさに『徒然草』も同じ。書き記した言葉は流れ去っても、そこに込められた思いは、人々の心に小さな灯として残る。」


茂手木:「そうですね。人間は瞬間を生き、消えゆく中でこそ美しさを見出します。その美しさと香りがクオリア草として未来に伝わっていく……科学もまた、この流れの一部なのかもしれませんね。」


クワヤマダくん:「僕たちのこの対話も、いつか未来の誰かにとっての小さな光になれるといいですね。泡沫だからこそ美しい希望の光が、ずっと続いていくように。」


兼好:「ふむ、希望の泡が次の時代に届き、人々の心を照らす。それが、この世の理(ことわり)かもしれぬな。」


こうして、700年前の随筆家と現代の科学者が、儚さと希望について語り合い、泡沫の光が未来へと続くことを信じていた。

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