伝統ダイラ

第391話 引退宣言

ダイラ:「なぁ、クワヤマダくん…もうそろそろ、俺も“普通のおじさん”に戻ろうかと思ってさ。特殊照明作家の市川平氏をオマージュしてたつもりが、大分脱線していて、何だか不安になってきたんだ。」


クワヤマダくん:「はぁ?なんで急に?引退するってことか?」


ダイラ:「そう。キャンディーズも昔、同じこと言っただろ?“普通の女の子に戻ります”って。俺もさ、そろそろ“普通のおじさん”に戻りたくなったんだよ。」


クワヤマダくん:「いやいや、そもそもあんた、普通のおじさんじゃないだろ。SF好きで、映画好きで、ちょっとアート好きで、哲学も交えた意味深なことばっかり考えてるし。市川平氏のオマージュの範囲内だと思うけど。」


ダイラ:「…確かに普通のおじさんらしくはないかもな。でもな、もうちょっと静かな生活を楽しみたくなったっていうか。ほら、宮崎駿だって何回も“引退”宣言してるじゃん?あれもね、一度は普通の生活に戻りたいって気持ちから始まったはずさ。」


クワヤマダくん:「いや、でも宮崎さん、結局また戻ってきてるだろ。しかも、毎回“最後の作品”って言いながらまた映画作ってるし。あんたも同じじゃないか?“引退”とか言って、どうせすぐに“ダイラ物語”に戻ってくるんだろ?」


ダイラ:「それがな、今回は本気なんだ。俺も“四代目ダイラ”としてここまでやってきたけど、そろそろ次の世代にバトンタッチする時期じゃないかって…」


クワヤマダくん:「ちょ、待て待て。今のあんたが四代目だったのかよ!しかも、次を探すって?普通のおじさんに戻るって言った矢先に、もう五代目のこと考えてるじゃないか!」


ダイラ:「まぁ、引退宣言ってやつには、いろいろとドラマがあるのさ。でも、次が誰か分からなくても、こうやって“ダイラ物語”が続いていくって思うと…どうだ、ちょっとワクワクしないか?」


クワヤマダくん:「何がワクワクだよ。俺の気持ちとしては…だって、六代目の俺のほうがまだまだ現役のつもりでいるのに!おじさんに戻るって言いながら、まだ走り続ける気なんじゃないか、あんた!」


ダイラ:「クワヤマダくんは6代目だったの?ウケるね。そりゃもちろん、“普通”に戻ろうなんて、言ってみただけさ。宮崎駿もそうだけど、“引退”してもまた戻ってくるのがクリエイターの宿命ってもんだろ?」


クワヤマダくん:「だよなぁ…こうやって毎回“引退”詐欺みたいにやってたら、逆に“永遠のダイラ”って名乗ったほうがいいんじゃないか?」


ダイラ:「それもいいかもな!よし、じゃあ改めて、俺たちは永遠のダイラとクワヤマダとして、次世代に引き継ぎながらこれからも続けるか!こりゃ伝統芸能だな。」


こうして、ダイラとクワヤマダくんは“普通のおじさん”に戻るどころか、永遠に続く伝統芸能としての“ダイラ物語”の新たな一章を開くことにしたのであった。




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