第386話 ハロウィン特殊メガネ

ダイラ:「クワヤマダくん、このメガネやばいぞ。これをかけると、リンゴジュース一つに関わった全員が見えるんだってさ!」


クワヤマダくん:「へぇ~、人間が見えるって?どんだけいるんだよ…試しに見せてみろよ!」


(ダイラ、メガネをクワヤマダくんに差し出す)


クワヤマダくん:「おっ、よくわかんねぇけどかけてみるか…あ、やべぇ、これすごいぞ!畑でじいさんがリンゴもぎってるぞ!」


ダイラ:「そっからまだ続くぞ。ほら、次はトラック運転手が…さらに工場のライン作業員がズラリ!」


クワヤマダくん:「おぉ…これまさに『人間の山』だな!リンゴジュース一杯でこの量か!めちゃくちゃだぜ!」


(クワヤマダくん、驚きのあまりメガネを外し、ダイラに向かって渡す)


ダイラ:「よし、今度は俺が…。じゃあ鼻毛カッターはどうだ?」


クワヤマダくん:「鼻毛カッター!?そんなもん、誰が作ってんだよ!」


(ダイラ、メガネをかけ直し鼻毛カッターに注目)


ダイラ:「うわっ、まじで人の山だぞ!設計者、製造、流通、あと謎のテストしてるおっちゃんが大量に見える!鼻毛じゃなくて小鼻を切って泣いてるおっさんもいる!」


クワヤマダくん:「鼻毛カッター一つでこの山か…。いや、恐れ入るわ、あの人たちは何をモチベーションにやってんだ?」


ダイラ:「それじゃ、今度はこの『孫の手』だ。さっきのリンゴジュースと鼻毛カッターを超えるかもな!」


(ダイラ、孫の手にメガネを向ける)


ダイラ:「うわっ!おじいちゃんの職人が手作業で一本ずつ削ってるぞ!その後に全国に発送する人たちも山のように見える!」


クワヤマダくん:「なんだよ、それだけの人間が関わってんのかよ。まさに孫の手じゃなくて『孫の山』だな!」


ダイラ:「…おい、試しにお前も見てみろよ、どうせまた人の山だ。」


(クワヤマダくん、ダイラを見つめ、メガネをかける)


クワヤマダくん:「……な、なんだよこれ、眩しすぎて目がチカチカするぞ!」


ダイラ:「どうした?」


クワヤマダくん:「お前の後ろにずらりと…人、ひと、ヒトの大行列!お前が作ったものに関わった人間がもう山、いや、タワーみたいだ!大気圏を超えてる!」


ダイラ:「マジかよ!?それって俺の人生のいろんな場面に関わった連中か?」


クワヤマダくん:「うん、たぶんだけど…教師、友達、職場の連中、通りすがりの犬まで見えたぞ!」


(大笑いしながら、お互いの背後に見える「人間の山」に再び驚嘆)


ダイラ:「じゃあ、ついでにお前も見てやるよ!」


(ダイラ、クワヤマダくんにメガネを向ける)


ダイラ:「うわぁ~!お前の後ろもすげぇぞ!スシ職人、銭湯の常連、商店街のばあちゃんまで、なんでそこにいるのか謎な連中がみっちり!なぜかマウンテンゴリラも数匹いるぞ!」


クワヤマダくん:「なんだそれ!?あ、てかメガネ外してくれ、もっかい普通の世界に戻りてぇ!」


(ダイラ、メガネを外す。)


ダイラ:「あれ?この行列、ハロウィンの仮装パレードじゃんか。」


クワヤマダくん:「なんだよ、ただの仮装か…」


ダイラ:「けどな、さっきのメガネ越しに見えたのも、ある意味『本物の仮装』ってやつかもな。お互い、何重もの人間に囲まれててさ。」


クワヤマダくん:「なんだか分かんねぇけど、面白すぎて笑いが止まんねぇよ!よし!このメガネかけてハロウィンパーティにでも行くか。」

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