第367話 道場スルーなら哲学をくれ!

タイムマシンを未来に戻すため、ダイラたちは道場に取り込まれたタイムマシンを取り返そうとしていた。しかし、道場主は鉄人と呼ばれる秀才怪力男で、タイムマシンをビジネスに利用する気満々だった。


「道場通りたきゃ、哲学をくれ!」と鉄人が堂々と立ちはだかる。道場の真ん中で腕組みをし、まるでタイムマシンが彼の持ち物かのようにふんぞり返っている。


「道場スルーなら哲学をくれって、どこの大学だよ!」ダイラは苦笑いしながらツッコミを入れたが、鉄人は微動だにしない。


その瞬間、クボタが突如として叫んだ。「そんな要求、断じて認めん!タイムマシンは俺たちのだ!」

「ちょっと、クボタ、話し合いで解決しようよ…しかもクボタは関係ないし。」ダイラが言いかけるが、クボタは聞く耳を持たず、ケンカ殺法で鉄人に突っ込む。


「こいつ、ケンカで全て解決すると思ってるのか?」ダイラは頭を抱えつつも、タイムマシンに忍び寄る作戦を練っていた。クボタが鉄人と戦っている間にこっそりタイムマシンを取り戻す計画だ。


一方で、鉄人は自信満々で言い放った。「道場は哲学的な存在だ。ここを通るには、腕力ではなく、意味を見いださなければならない。」


「は?」クボタは一瞬止まり、困惑した表情を浮かべた。「お前、タイムマシンに哲学とか意味とか、なんでそんなものを絡めてくるんだよ?」


鉄人はさらに続けた。「このタイムマシンは、ただの乗り物ではない。時空を超えるとは、己の存在を問うこと。お前たちは、自分が何者であるかを理解していないから、タイムマシンを扱う資格がない!」


「お前、そんなこと言ってるけど、ただ儲けたいだけじゃないのか?」ダイラがボソッと突っ込むが、鉄人は無視して話し続ける。


クボタは鉄人の哲学的な問いに立ち尽くし、何か答えようとするが、突然アイロンドックが乱入してきた。鉄人の命令で作られたこのロボット犬は、口から熱々のアイロンを吐き出し、クボタの鼻に直撃!


「うおおおおっ!」クボタは叫び声を上げ、鼻の穴が焼けるように広がる。「これ、意外と気持ちいいな…」と思わず悦に浸るが、すぐに我に返り、鼻を押さえた。


その隙を突いて、ダイラはタイムマシンに近づき、操作パネルに手をかけた。「おいおい、これ前よりアップグレードされてるじゃないか!」驚きながらも、ダイラは急いでタイムマシンを起動しようとする。


しかし、鉄人は気づいていた。「お前、そんなことしても無駄だ。このタイムマシンは、お前たちに理解できないほどの哲学を内包している。時を超えるためには、まず己を超えなければならない!」


「また哲学かよ!」ダイラはうんざりした顔をしながら、平さんの方向をチラッと見る。すると、平さんが突然大声で叫んだ。「同情するなら、金をくれ!彫刻学科よりデザイン科の方が設備がいい!」


鉄人が真剣な顔で「金?道場スルーするのにそんなこと言うな!」と返すが、平さんはおかまいなし。「いや、これが時代の名台詞だろ?俺も言ってみたかったんだ。」


そのやり取りに一瞬場の空気が和んだが、クボタはまだ鼻を押さえつつ、問いを投げかけた。「結局、俺たちは何を求めてるんだ?タイムマシンで未来に帰ることが目的か?それとも、この道場の鉄人が言うように、存在の意味を見つけることか?」


鉄人は勝ち誇ったように頷いた。「そうだ!未来なんてただの幻想だ。今をどう生きるか、それが重要なんだ!」


「いや、俺たち未来に帰らなきゃいけないんだけど…」ダイラは半笑いでタイムマシンを起動させた。


「さあ、行くぞ、みんな!」とダイラがタイムマシンをスタートさせると、鉄人は驚きの声を上げた。「ちょ、待て!哲学は?金は!」


タイムマシンはすでに未来へと動き出し、道場を後にする。クボタは鼻を抑えながら、「結局、俺たちは何も学ばなかったんじゃないのか?」と呟いた。


ダイラは苦笑しながら答えた。「そうだな。でも、少なくともハイクオリティなタイムマシンで帰れるからいいじゃないか。クボタくん、君は過去に帰りたまえ。」


平さんがニヤリと笑いながら、「そうだ、金よりも価値のあるものを手に入れたんだよ。それが何だか分からんけどね。クボタも仲間だよ、皆で一緒に帰ろう。」

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