第355話 クボタ俺のボディ返せ!
キングコングの姿でスタジオに入ってきたのは、クワヤマダくんの美大時代の後輩、クボタだった。彼はゴジラをまとったクワヤマダくんを見て、キョトンとした表情を浮かべている。クワヤマダくんは激しく動揺しながら叫んだ。「それ、俺の胴体だ!どうやって手に入れたんだよ!」
クボタは困惑したまま答えた。「いや、知らないんだ。ある日アトリエに転がっていたこの胴体を着てみたら、突然ハリウッドのキングコングとして時空を超えて活躍することになっちゃってさ…。気づいたら、こんなことに。」
お互いの状況を把握しきれないまま、クボタは無意識にクワヤマダくんの元ボディーを強烈に叩き、勢いよくセットのビルをよじ登り始めた。彼の動きは、キングコングとしての習性に完全に染まっているようだった。
「クボタ、やめろ!俺のボディーでビルを登るな!」クワヤマダくんは焦りながら叫ぶが、クボタはすでにビルの頂上へ向かっていた。
その様子を見た平さんは、興奮気味に指示を出す。「いいぞ、クワヤマダくん!キングコングに向かって火を吹け!ゴジラの本領発揮だ!」
しかし、クワヤマダくんは葛藤していた。自分の体がクボタに乗っ取られているとはいえ、それを焼き尽くすことに躊躇していたのだ。「でも、自分の体を焼くなんて…それってどうなんだ…?」ゴジラの口から炎を吐く準備は整っているが、彼の心は複雑だった。
「クワヤマダくん!今しかないぞ!」平さんが再度叫ぶが、クワヤマダくんはまだ決断できずにいた。
その時、ダイラが冷静な表情で言った。「クワヤマダくん、今こそ君のボディーにリスペクトを示すべきだろう。自分の体が何を成すかは君次第だ。だが、ただ眺めているだけでは何も変わらない。」
その言葉に触発されたクワヤマダくんは決意した。「そうだ、俺はこの体を取り戻す!そして、俺自身のゴジラとして生きていくんだ!」
ついに、クワヤマダくんは炎を吐き出し、キングコングに挑むことを決意した。しかし、火が飛び散るその瞬間、予想もしない事態が起きた。キングコング姿のクボタは、なんと空中で突然宙返りをしながら避け、ビルの反対側へ飛び降りたのだ。
「おい、なんて動きだ!」驚くクワヤマダくんの目の前で、クボタは笑顔で「実は俺、カポエイラもやっててさ」と、軽やかに地面に着地した。
ここから、ゴジラクワヤマダくんとカポエイラキングコングクボタの壮絶な戦いが幕を開けることになる。しかし、そこに突然現れるのは再び時空の歪みだった。
次回、ゴジラとキングコングの対決はどうなるのか?そしてクワヤマダくんのボディーは無事戻ってくるのか?
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