第346話 魅惑のギャランドゥー

ダイラとクワヤマダくんは、ミラーボールの大爆発による時空の歪みを抑えようと、焦りながら平さんと共に作戦を練っていた。平さんが何かを思い出したように手を打った。


平さん:「そうだ!ミラーボールの爆発を最小限に抑える方法がある!ヒデキのハイトーンボイスだ!」


クワヤマダくん:「ヒデキって…あの西城秀樹のヒデキ?マジかよ、そんなので本当に爆発を抑えられるのか?」


ダイラ:「曾祖父さん、ヒデキの声でどうしてミラーボールが制御できるんだ?」


平さん:「ふふふ、バブル期の文化を甘く見るな。ミラーボールはただの光の装置じゃない。音波を吸収し、特定の周波数で安定させることで爆発エネルギーを抑えることができる。西城秀樹のハイトーンはその完璧な周波数なんだ!」


クワヤマダくん:「でも、秀樹はここにいないだろ?俺が代わりに歌うしかねぇのか…?」


ダイラ:「クワヤマダくん、やるしかない。君がヒデキの曲を全力でマネして歌えば、もしかしたら時空の歪みが抑えられるかもしれない。」


クワヤマダくんは信じられない表情でダイラを見つめたが、平さんの真剣な目を見て、覚悟を決めた。


クワヤマダくん:「わ、わかったよ…。でも、期待しないでくれよ。俺、歌は...だからな。」


平さん:「大丈夫さ!君のハイトーンが未来を救うんだ!」


クワヤマダくんは深呼吸をして、西城秀樹の名曲『YOUNG MAN (Y.M.C.A.)』のサビに突入した。高らかに「Y.M.C.A!」を歌い上げようと声を張り上げた瞬間、何かが狂ったようにミラーボールの回転が加速していった。


クワヤマダくん:「Y!M!C…A…?」


彼の歌声に反応したミラーボールは、逆にエネルギーを取り込み、過去最大級のスピードで回転を始めた。次の瞬間――。


ドッカーーーーン!!!


激しい閃光とともに、ミラーボールは壮絶な大爆発を起こした。作業場全体が衝撃波に包まれ、壁や天井が揺れ、周囲の物が空中を舞い始めた。光の渦が彼らを包み込み、全てがまるで時間の流れから消えてしまったかのようだった。


クワヤマダくん:「おいおい、どうなってんだ!俺の胴体どころか、俺の存在まで消えるんじゃないか!?」


ダイラ:「これは…想定外だね。クワヤマダくんの歌声が、ミラーボールのエネルギーを逆に引き出してしまったみたいだ…!」


平さん:「おいおい、ヒデキといったらギャランドゥーだろ!まあ、失敗もアートの一部さ。」


クワヤマダくん:「そんな余裕なこと言ってる場合じゃないって!時空がバラバラになっちゃうぞ!」


ミラーボールの爆発によって、彼らは見たことのない空間に飛ばされてしまった。時空が完全に崩壊し、どこか懐かしい匂いが漂う場所――それは、平さんがかつて使っていた古いアトリエのようだった。


クワヤマダくん:「ここ…また時空が歪んでる。俺の胴体はどこだ…!」


平さん:「まあ、慌てるな。きっと胴体もどこかに飛ばされてるはずだ。時空を修正するためには、まだ手があるさ。」


そこへ、平さんの古い仲間たちがアトリエに集まり始めた。彼らは平さんに向かって微笑みを浮かべながらこう言った。


仲間:「また平さんの摩訶不思議な話かい?ミラーボールが爆発して、時空が歪んだなんて、誰が信じると思ってるんだ?」


平さん:「いやいや、今回は本当なんだって!君たちもすぐに理解するよ。ひ孫の友達の胴体が飛ばされ、時空の流れを修正する必要があるんだ。」


仲間たちは平さんの話を信じることなく、笑いながら肩をすくめた。しかし、彼らがまだ知らないのは、この不安定な時空で何が待ち受けているかということだった…。


【次回予告】


ミラーボールの大爆発とクワヤマダくんのY.M.C.A.が引き起こした過去最大の時空崩壊!懐かしいアトリエで彼らが見つけるものとは?そして、時空の歪みは修復できるのか?次回、『時空のパーティーはまだ終わらない!』をお楽しみに!






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