第344話 毒ガスクーラー

ダイラとクワヤマダくんは、ダイラの曾祖父、平さんのドームのないプラネタリウムをダイラが改造したタイムマシンに乗り込み、バブル期の日本へ向かうタイムトラベルに挑んでいた。しかし、スイッチを押した瞬間、マシンが震え、周囲の物や人まで巻き込む大混乱が起こる。クワヤマダくんは叫ぶ暇もなく、自分の胴体が突然消え去り、タイムマシンは崩壊しながらもバブル時代に突入した。


ダイラ:「これは…まずいね、クワヤマダくん。」


クワヤマダくんは残された頭だけで叫んだ。

クワヤマダくん:「俺の胴体どこいった!? 胴体がなきゃ、俺どうすりゃいいんだよ!」


ダイラは冷静にコントロールパネルをいじりながら、少し焦った顔で画面を見つめる。

ダイラ:「うーん、どうやら君の胴体は別次元に飛ばされてるみたいだ…しかも、イヴ・クラインのスタジオにね。」


クワヤマダくん:「はぁ!?なんで俺の胴体がそんなところに!?」


ダイラは、モニターに表示された「イヴ・クラインのスタジオ」の文字を指さしながら説明する。

ダイラ:「君の胴体が、どうやらイヴ・クラインの青い絵画にインスピレーションを与える存在になってしまったらしい。」


クワヤマダくん:「俺の胴体がアートのインスピレーション!? 冗談だろ!」


しかし、事態はそれだけでは終わらなかった。時空の歪みの影響で、ダイラの曾祖父でアーティストの平さんがバブル時代に作ったクーラーの作品が、イヴ・クラインのスタジオに設置されてしまったのだ。このクーラーは、なぜか毒ガスを放出する特性を備えてしまっていた。イヴ・クラインは、そのガスを吸い込み、完全にハイになってしまった。


クワヤマダくん:「おいおい、毒ガスとかヤバすぎるだろ!」


ダイラ:「平さんのクーラーがそこにあるってことは…確かに、あれはの作品だったんだ。毒ガスを吐くクーラーなんて前衛的すぎて理解不能だけど、彼にとっては"バブルの空気"を作品にするアートだったんだろうね。」


クワヤマダくんの胴体がクラインの目の前に現れた瞬間、毒ガスを吸い込んだクラインは、突然その胴体を真っ青にペイントし始めた。


クワヤマダくん:「ちょっと待てよ!俺の胴体を青く塗るな!って、もう遅いか…」


クラインの狂気的なペイント作業により、クワヤマダくんの胴体はモノクロームの青の一部として、彼の歴史的作品に刻まれることになった。時空の歪みのせいで、平さんの毒ガスクーラーとクワヤマダくんの胴体は、イヴ・クラインの創作に深く関わるという奇妙な展開が生まれた。


ダイラ:「クワヤマダくん、君の胴体が芸術史に刻まれるとは思わなかったよ。ある意味、未来に大きな影響を与えることになるかもね。」


クワヤマダくん:「未来が変わるとか言ってるけど、俺の胴体がアートになるのは勘弁してくれ…早く元に戻してくれよ!」


ダイラは少し笑いながらも、タイムマシンの修復を進めようとする。しかし、この事態がどれほど未来に影響を与えるかは、まだ誰にもわからない。バブル期の毒ガスクーラーとモノクロームの青に関わったクワヤマダくんの胴体は、果たして無事に元の次元に戻れるのか。


【次回予告】

「クワヤマダくんの胴体は無事に戻るのか? それとも、アートの歴史に永遠に刻まれてしまうのか?」

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