第339話 乗っ取り屋
登場人物
ダイラの体を乗っ取っている宇宙人A(ダイラA):知識豊富だが地球の文化や人間の感情を合理的に解釈できず、困惑している。
クワヤマダくんの体を乗っ取っている宇宙人B(クワヤマダB):地球の非合理な行動にますます興味津々だが、やはり理解には苦しんでいる。
(宇宙哲学を語り合いながら、地球人の奇妙な行動に困惑する会話。)
ダイラA:「なあ、クワヤマダB。どうしてダイラは夜中に街を練り歩くんだ?しかも、自分が開発したという“特殊照明”を持ってさ。何か重要な科学的目的があると思ったんだが、結局、ただの光だったんだ。」
クワヤマダB:「いや、それがさ、クワヤマダくんも同じくらい意味不明なんだ。山に登って熊と格闘したんだぜ?しかも、わざわざ熊に近づいて“さあ、かかってこい!”なんて挑発までして。結局、何とか無事だったけど、どう見ても合理的じゃないよな。」
ダイラA:「特殊照明を使って、街の人々に見せびらかして回るのが目的なら、理解できるかもしれないと思ったんだ。何かの科学的実験か、コミュニケーションの一環だと。でも、どうも違うんだよな。あれは、ただの…娯楽?」
クワヤマダB:「ああ、娯楽だと思う。熊に挑むのも、単なるスリルを求めるためだってクワヤマダくんの記憶から感じ取った。だけど、理解に苦しむよな。なんであんな危険なことをわざわざ?」
ダイラA:「それが、地球人の“非合理的な本能”というやつか。彼らはリスクを負ってまで、意味のない行動に価値を見出すらしい。理屈で説明できないことに、深い意味を感じるということか?」
クワヤマダB:「でも、僕らには理解できないよ。だって、宇宙人の社会ではすべてが合理的で効率的に動いている。無駄な行動なんて一切しないし、リスクを冒すのも何か確実な成果があるときだけだ。」
ダイラA:「その通りだ。けど、ダイラが街で特殊照明を振り回して“光の革命だ!”って叫んでいる姿は、どうしても合理的な行動には見えない。あれも一種の自己表現なのか?」
クワヤマダB:「おそらく。クワヤマダくんも、“熊との対決が自分の存在を証明するんだ”って本気で思っていたんだよな。でもさ、それで死んだら元も子もないよな。彼らの行動は、生き残るためというよりも、自分を何かにぶつけて試したいって感覚なのかもしれない。」
ダイラA:「なるほど。彼らにとって、存在するということは、何かしらの無意味な行動を通して自分を感じることなのか。だが、それでもこの地球人のやり方は非効率的すぎる。宇宙の視点から見れば、全く無意味に思えるんだが。」
クワヤマダB:「でも、もしかしたらそこにこそ地球人の真髄があるのかもしれない。合理性だけで動かないことが、彼らをユニークにしてるんだよ。例えば、ダイラの特殊照明、ただの光じゃないんだよ。彼にとっては、それが芸術であり、爆発的な創造の表現なんだ。」
ダイラA:「そうか…。そう考えると、少し理解できるような気もする。彼らは科学や効率を超えた“創造”という概念に価値を置いているんだな。だが、やっぱりクワヤマダくんの熊との格闘だけは解せないな。命を懸けてまで得られるものがあるとは思えない。」
クワヤマダB:「確かにそうだ。でも、クワヤマダくんもダイラも、結局は自分の体験を通して世界と向き合っているんだ。宇宙的には意味がなくても、彼らにとっては大いに意味があるってことだろう。」
ダイラA:「そう考えると、我々の宇宙的視点では見えない“価値”が彼らにはあるのかもな。もしかすると、地球人の非合理的な行動こそが、宇宙全体に何か新しい可能性をもたらすかもしれない。」
クワヤマダB:「ふむ。そういうことなら、今度は僕も何か“無意味な”行動に挑戦してみるかな。何か面白いことが起こるかもしれない。」
ダイラA:「じゃあ、まずは熊と格闘してみるか?」
クワヤマダB:「それはちょっと…熊には勝てる気がしないな。代わりに、君の特殊照明を使って街を練り歩くのはどうだ?」
ダイラA:「いい案だ!それなら安全だし、誰かが共鳴してくれるかもしれない。」
クワヤマダB:「でもさ、ちょとあれは勇気がいる行為だよな。人間の偉大さを感じるのはなぜだろ。」
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