第340話 給食は牛三頭で!
ある日の午後、ダイラとクワヤマダくんは、また近所に住む自称宇宙人のムトーさんの家を訪れた。ムトーさんは未来の話を語るのが得意で、二人はその話を聞くのが大好きだった。
クワヤマダ: 「ムトーさん、今日はどんな未来の話をしてくれるんだ?」
ムトー: 「今日は2050年の学校の話だ。内閣府のムーンショット計画が日常化し、他の星からの宇宙人が移住してきた世界だよ。宇宙人と地球人が一緒に学校に通っていたんだが、まあいろいろと面白いことがあったんだ。」
ダイラ: 「宇宙人が学校に通ってたって、どんな感じだったんだ?トラブルとかありそうだな。」
ムトー: 「トラブルだらけだったよ。例えば、最初は授業中に宇宙人が勝手に田んぼへ行って、ミステリーサークルを作り始めることが問題だった。だから学校側は、授業中にミステリーサークルを作るのは禁止にしたんだよ。」
クワヤマダ: 「授業中に田んぼでミステリーサークルって、何してるんだよ!でも、なんで宇宙人がそんなことを?」
ムトー: 「宇宙人にとっては、ちょっとした創造的な遊びだったんだ。でも学校側からすれば大迷惑さ。それに宇宙人ってば、食べ物の量も桁外れだった。給食では牛三頭を一人で食べちゃうんだ。」
ダイラ: 「牛三頭!? そりゃ、給食室がパンクするな。」
ムトー: 「その通り。給食室は毎日混乱してた。でも、面白いのは、彼らの知能もすごかったんだ。異次元レベルの知能を持っていて、本当は授業を受ける必要なんてなかったんだよ。」
クワヤマダ: 「知能が異次元なのに、なんで学校に通ってたんだ?そんなに賢いなら先生もいらないんじゃないの?」
ムトー: 「そう思うだろう?でも、宇宙人は地球の文化や学校生活を体験することが大事だと思って、普通の顔をして地球人の子供たちと一緒に授業を受けてたんだよ。合理的すぎて、文化祭や休み時間の雑談には苦手な宇宙人もいたけど、それでも地球人の生活に順応しようとしていた。」
ダイラ: 「それはちょっとシュールだな…。でも、雑誌『ムー』はどうして廃刊になったんだ?宇宙人がこんなにたくさんいるなら、特集とか組めば人気が出そうだけど。」
ムトー: 「ところがな、宇宙人が日常化しすぎて、もう誰も驚かなくなったんだ。『ムー』は超常現象やミステリーを扱ってた雑誌だったが、宇宙人が当たり前になりすぎて、特集を組んでも意味がなくなった。だから『ムー』は役目を終えて静かに廃刊したんだよ。」
クワヤマダ: 「宇宙人が普通すぎて雑誌が廃刊になるなんて、未来はすごいな。」
ムトー: 「それだけじゃない。宇宙人の保護者は地球を滅ぼせる力を持っていたから、学校へのクレームには非常に気を使った。もしトラブルがあったら、慎重に対応しないと地球が吹っ飛ぶかもしれなかったんだ。」
ダイラ: 「地球を滅ぼす!? そんな保護者のクレーム、どうやって対応してたんだ?」
ムトー: 「あらゆる苦情に、すぐに解決策を提示して対応してたんだ。普通の親の苦情とは訳が違うからな。子ども同士の小さな喧嘩でも、一歩間違えれば地球の存亡に関わるかもしれないから、先生たちは常に神経を張り詰めていた。」
クワヤマダ: 「それじゃ、学校の先生も相当ストレスが溜まったんだろうな…。でも、宇宙人もいろいろな種類がいたんだろう?」
ムトー: 「ああ、見える宇宙人もいれば、見えない宇宙人、小さすぎて教室の机の上を歩いている宇宙人もいた。逆に、教室に入りきらないほど巨大な宇宙人もいたんだ。学級編成にはかなり苦労していたみたいだな。」
ダイラ: 「そんなバラバラのサイズ感でどうやって授業してたんだ?」
ムトー: 「お互いの違いを尊重しながら、工夫してやっていたんだよ。合理的すぎる宇宙人も、地球人の文化に少しずつ慣れていって、文化祭や雑談も受け入れるようになったんだ。合理的な彼らからしたら無駄に思えることも、地球人の大切な文化の一部だって理解したんだろうな。」
クワヤマダ: 「でも、宇宙人には入試や進路の概念がないんだろ?彼らはどうやって将来を考えてたんだ?」
ムトー: 「進路や入試なんてものは彼らにとって意味がないさ。彼らの社会では、そんなものは必要なかったからな。でも、それでも地球の学校に通い、地球人の文化を学ぶことで、共に未来を築こうとしていたんだよ。」
ダイラ: 「すごいな…。牛三頭を一人で食べる宇宙人や、異次元の知能を持った宇宙人が、地球人と一緒に学んで共生していくなんて、想像もつかない未来だよ。」
ムトー: 「そうだろう? でも、それが2050年の未来なんだ。お互いの違いを受け入れて、共に生きていく。それが、ムーンショット計画の結果生まれた新しい社会だったんだよ。」
ダイラとクワヤマダくんは、ムトーさんの話を聞きながら、未来の学校や共生社会を思い描いた。地球人と宇宙人が共に生活し、学び合うその世界は、違いを超えて共存する新しい時代の物語だった。
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