第336話 有限会社「人生」

クワヤマダくん:「ダイラ先輩、最近どうも人生の時間があまりに短いように感じてきたんです。気がついたら結構いい歳になってて、あれ、どういうこと?って…」


ダイラ:「はは、クワヤマダくん。そうやって考え始めるのも人生の一部だよな。で、具体的に何を考えたんだ?」


クワヤマダくん:「例えば、人生を80年として、そのうちの睡眠時間が1日8時間だとしたら、約3分の1が寝てる時間なんですよ。つまり、約27年間寝てることになるんです。」


ダイラ:「ふむふむ。寝てる間に27年もか。そりゃあ、夢の中でも色々あったはずだな。で、他には?」


クワヤマダくん:「働く時間もあります。1日8時間働くとして、それを40年続けると約13年間が仕事。寝るのと仕事だけで、人生の半分以上がもうなくなっちゃってるんです。」


ダイラ:「なるほど。寝て、働いて、人生のほとんどが消えていくってか?それで、それ以外の時間は?」


クワヤマダくん:「さらに排便や歯磨きなんかの時間が加わります。排便が1日10分とすると、人生の中で数千時間はトイレにいることになりますよ。それに歯磨きの時間も1日5分としても、これも数ヶ月は歯を磨いてる計算になります。あと、お菓子を食べる時間だって、案外積み重なるとバカにならないんですよ。」


ダイラ:「はは、排便、歯磨き、お菓子。そこまで細かく計算するとは、相変わらず律儀だな。で、全部合わせると、残りの人生はどうだ?」


クワヤマダくん:「本当に自由に使える時間って、もうほとんど残ってない気がするんです。それを知ってしまったら、クリエイティブなことにもっと時間を使わなきゃって焦るんですよ。でも、日々の雑務に追われて…」


ダイラ:「ふむ、クリエイティブな時間ね。確かに大事だ。でもな、クワヤマダくん、排便の時も歯磨きの時も、お菓子食べてる時だって、クリエイティブな時間にできるじゃないか。暇な時間があるからこそ、ふとしたアイデアが浮かぶこともあるんだ。」


クワヤマダくん:「え、そういうもんなんですか?」


ダイラ:「そうさ。たとえば、こうやって君と話してる今も、これ自体がクリエイティブな時間だよ。そして、このダイラ物語第336話を読む時間だって、人生の一部なんだ。読者だって、こうして自分の時間を使って、俺たちの話を聞いてくれてるんだ。」


クワヤマダくん:「確かに…読んでくれている時間も、その人にとって大事な時間かもしれないですね。」


ダイラ:「そうだとも。摩訶不思議なことを考える時間だって、何も無駄じゃない。実際、宇宙の果てがどうなっているかとか、人生の意味なんて考えても答えは出ないかもしれないけど、そうやって考えること自体が大事なんだよ。」


クワヤマダくん:「でも、現実問題として、もっと自分のやりたいことに時間を使いたいって思うんですよ。特にクリエイティブなことに時間を取れたら、もっと充実する気がして…」


ダイラ:「そりゃ、もちろんクリエイティブな時間も大事だ。でもさ、俺たちが思ってるより、人生の中で何が大事かなんて分からないもんだよ。寝て夢見てる方が幸せな人もいる。お菓子食べてる時だって、トイレでふと浮かんだアイデアが、将来の大きな作品になることだってある。そういう時間があるから、集中できる時間も活きてくるんだよ。」


クワヤマダくん:「なるほど…でも、先輩。そうやって摩訶不思議なことばかり考えてると、人生そのものが迷子になりそうな気もします。」


ダイラ:「はは、そうかもな。でも、それも含めて楽しめばいいんだよ。限られた時間だからって、無駄を排除しても結局は疲れるだけだ。だからこそ、無駄に思える時間を楽しむことこそが、人生の本質じゃないか?」


クワヤマダくん:「そう聞くと、なんだかホッとします。結局、無駄だと思ってた時間も含めて大事なんですね。」


ダイラ:「そうだとも。人生なんて短いんだから、細かいことに悩んでる暇はないさ。寝てる時間も、排便してる時間も、ダイラ物語を読んでる時間も、全部が有意義な時間だ。時間を無駄にしてるようでいて、実はそれが君の人生を豊かにするんだよ。」


クワヤマダくん:「なるほど…じゃあ、これからはもう少しゆっくりと、全ての時間を楽しむようにしてみます。無駄に見える時間も大事な時間って思えたら、気が楽になりますね。」


ダイラ:「そうさ、そうやって考えられるようになれば、人生はもっと面白くなるぞ。焦らず、笑って、時には摩訶不思議なことを考えながら過ごすこと。それが一番だよ。」


「だからさ、クワヤマダくん。人生は有限だし、無駄に見える時間も大切なんだ。例えばさ、排便してる最中にふと思いついたことが人生の転機になることだってあるかもしれないぞ?で、何かいいアイデアが浮かんだら、まず俺に教えてくれよな!」


クワヤマダくんは思わず吹き出して言った。「わかりました、先輩!じゃあ、トイレで思いついたらすぐ報告しますね!」






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